ラボを継続するか、法人化するか問題

ラボを継続するか、法人化するか問題
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ベトナムオフショア開発のお話をいろいろな方々にさせて頂く中で、品質やコミュニケーション以外でよく頂くご質問が「現地法人を設立したほうがいいか?」というものです。つまり、現地のオフショア開発会社のラボを利用するのと、現地法人設立どちらを選択するのが良いかという選択です。

まず前提としまして、将来的に現地法人化するかどうかにかかわらず、ベトナムオフショアを「始める」のであれば、一般的なオフショア開発会社が提供しているラボサービスが便利です。ベトナムの法規制や会計基準などのを気にせずに、開発チームを作ることができるからです。
ラボサービスでいくつかプロジェクトを試してみて、その後どうするかの判断をするのが最も一般的かつ、最も合理的な方法です。

本記事では、ある程度ラボサービスでプロジェクトを走り終えたあと、そのまま継続するか、現地法人を設立するかの判断基準に関して書いてみたいと思います。
今後ラボサービスを検討されている方々も、その先をどの様に見据えるかの参考にしていただけると幸いです。

目次

20人以上規模のチームにするのであれば法人化

まず私が回答差し上げる最もシンプルな基準は、小規模チームでいいのであればラボサービス、規模を大きくしたいのであれば現地法人設立、というものです。

ざっくりですが、感覚値で20人以上のチームを作るのであれば法人化かなと言ったところですが、どちらが費用対効果が良いかの定量的な検討は当然必要です。

​この場合、計算しなければ行けないのは損益分岐点ではなく、ラボを継続した場合と、法人設立した場合の費用です。

ラボサービスの費用感

ラボの場合は人員計画さえあれば、エンジニアの人月単価×人数から簡単に算出できます。2017年時点での日系オフショア企業の単価相場は20〜25万円といったところですが、役割に応じて単価は変わってきます(例えばブリッジSEはその2倍以上します)。

現地法人設立の費用感

​法人設立の場合は初期費用とランニングコスト両方がかかります。主な費用を挙げてみます。

初期費用

  • 事前視察の渡航費(日本からだと宿泊費と往復航空券込で1000USD程度だと思います。)
  • 登記手続き+会計コンサルへの法人登記手続き手数料(法人の種類によって異なりますが200USD – 1000USD程度です。)
  • 資本金
  • オフィス地代家賃のデポジット(家賃の1〜3ヶ月分。きちんとしたオフィスビルだと、12USD/m2 – 25USD/m2あたりが相場です。)
  • ​オフィス内装工事費用(これもローカル企業に依頼するか外資企業に依頼するかでピンきりですが机、椅子などの備品含めて100USD/m2前後でしょうか。)
  • 駐在員のアパートのデポジット(家賃の1ヶ月分。これもピンきりですが、サービスアパートだと1000USD/月程度です。)
  • 駐在員の労働許可証とレジデンスカード(大体700USD程度)
  • 社員が使用するPC、アプリケーション等

ランニングコスト

  • 社員の人件費(プログラマーだと、新卒で350USD – 500USD、中堅で1000USD弱、マネージャーで1200USD – 1500USD程度。日本語人材だとこのベースに+αです。)
  • 駐在員の人件費(現地法人に出向して、現地法人と労働契約を結ぶ場合は、現地法人が駐在員の給与を払うことになります。)
  • 駐在員の(日本本社や、他の事業所への)出張費
  • オフィス地代家賃
  • 光熱費、インターネット(電気代は日本と同じくらいの費用がかかります。)
  • 会計コンサルとの契約
  • 弁護士事務所との顧問契約

ちなみに弊社ベトナム法人は一人有限会社という形態で、オフィスは普通のアパートを居抜きで借りたので、初期費用はほとんどかかっていません。やや古い物件ですが、150m2程度で600USD/月です。

ベトナムオフショア開発の目的をどこに置くか

まず判断の前に明確にしなければ行けないのが、オフショアをやることの目的を明確にすることです。主に、開発費用を抑えることなのか、それとも、開発リソースの確保なのか、という2点に集約されると思います。
もし前者であれば、単純に安い方を選択することになります。
​後者であれば、欲しい人材を集めやすさとその費用対効果から選択することになります。

現地駐在できる人を社内から出せるかどうか

ラボであれば担当者がたまに出張で現場を見るだけでプロジェクトは進行しますが、現地法人となればそうはいきません。また、現地社員の教育や成果物の品質の担保は日本人社員がやったほうがいいケースがああります。そういう役割の方々は本社からの出向になるでしょうから、誰かしらがベトナムに長期滞在する必要があります。適任者を社内から選べないのであれば、ラボサービスの一択です。

海外駐在員の選定基準は明確に決めておく必要がある

私も以前は駐在という立場だったので自分で言うのも変な感じがしますが、海外駐在にはそれ相応の適性があります。特にベトナムという環境に馴染めそうかどうかという点が非常に重要な点です。これをおざなりにして駐在員を決めて派遣すると、本人が環境に馴染めずに心を病んでしまったりするリスクがあります。ベトナム駐在であれば下記のような適性が必要だと思います。簡単に言うと図太い人が向いていると思います。

  • あまり清潔でない環境でも気にならない。
  • コンビニがない(ホーチミンにはあります)、日本料理の食堂が少ない、娯楽が少ない、等「無いものが多い」環境でも生きていける。
  • 今までやったことがない業務でも、自分の頭で考え、情報収集し、人脈を作りながら前に進められる。
  • カオスな環境をむしろ楽しめる。

独自の社員教育や福利厚生を作りたいかどうか

ラボサービスの場合、開発チームは他社の社員なので色々と制限があります。例えば、金銭による動機づけや、独自の人事制度適応はラボサービスでは難しいです。また、情報セキュリティの取扱もラボサービスでは委託先の体制に依存してしまうので、本社の方針として長くは続けられないということもあるかもしれません。

現地での業務が定常的にあるかどうか

ラボサービスは業務委託契約なので、業務量が減れば契約上確保するエンジニアの数を簡単に調整出来ます。
現地法人設立すると、エンジニアを雇用することになるので、業務量が減ったからといって簡単に数を調整できるものではありません。特にベトナムでは解雇は簡単ではないです。現地法人でやるべき業務量が見えないのであれば、ラボサービスで様子をみたほうが良いかもしれません。

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