こんにちは、スクーティー代表のかけやと申します。
弊社は生成AIを強みとするベトナムオフショア開発・ラボ型開発や、生成AIコンサルティングなどのサービスを提供しており、最近はありがたいことに生成AIと連携したシステム開発のご依頼を数多く頂いています。
Adobe Summitって、毎年すごい進化を見せてるけど、2025年は一体何が起きるの?って気になってる人も多いんじゃないでしょうか。今回のSummit 2025、特に「顧客体験オーケストレーション」ってキーワードがめっちゃ重要なんです。これは、AIがマーケティングやクリエイティブの現場をどう変えるのか、っていう最先端の話。でも、専門用語が多くてよくわからない…って諦めちゃうのはもったいない!
この記事では、Adobe Summit 2025 で発表された内容を、技術に詳しくない人でもわかるように、どこよりも詳しく、でもわかりやすく解説します。AIがどうやってあなたの仕事や生活を変えるのか、具体的に何ができるようになるのか、一緒に見ていきましょう!
Adobe Summit 2025: 創造性とマーケティングの未来
Day1の基調講演より(1:07〜)。アドビCEOのシャンタヌ・ナラヤン氏が、創造性の進化、AIの役割、そしてAdobe Summitのテーマである「顧客体験オーケストレーション」について語ります。創造性とマーケティングの密接な関係、AIによるコンテンツ制作の加速、Adobeの主要製品(Creative Cloud、Firefly、Acrobat AIアシスタント、Express)へのAI統合、そしてGenStudio構想による創造性とマーケティングの統合について説明しています。
この記事(Adobe Summit 2025 Day 1/2)の要点を簡単のまとめておきます。
- AIによる創造性革命: AIはデザイン、動画、ドキュメントなどあらゆる創造領域を拡張。Fireflyのような商用利用可能なAIモデルがコンテンツ制作を加速し、新たな表現と体験を創出する。
- 顧客体験オーケストレーション: 顧客データ、コンテンツ、ジャーニーをAIで統合し、パーソナライズされた体験を大規模に提供する時代へ。Adobe Experience Platformがその基盤となる。
- B2Bマーケティング3.0: AIを活用し、マーケティングとセールスを統合したフルファネル戦略が重要に。アカウントと購買グループ中心のリアルタイムな顧客理解と最適化が鍵。
- データドリブン変革: データ基盤の強化とAIによるデータ分析が不可欠。顧客ジャーニー全体を可視化し、インサイトに基づいた迅速なアクションと最適化を実現する。
- 組織のケイパビリティ変革: テクノロジーだけでなく、プロセス改革と組織文化変革が重要。部門間の壁をなくし、顧客中心でアジャイルな組織へと進化する必要がある。
Adobe Summit 2025とは?:概要と重要性
Adobe Summitは、アドビが毎年開催している、デジタルマーケティングと顧客体験に関する世界最大級のイベントです。世界中からマーケターやクリエイター、企業のリーダーたちが集まり、最新のトレンドや技術、成功事例を共有します。2025年のSummitでは、「顧客体験オーケストレーション」が大きなテーマとして掲げられました。
これは、単に顧客に合わせた情報を提供するだけでなく、AIが顧客の行動や好みを深く理解し、まるで優秀なコンシェルジュのように、最適なタイミングで、最適な情報やサービスを提供する、という考え方です。従来のマーケティングは、企業が「売りたいもの」を顧客に提案する形でしたが、顧客体験オーケストレーションでは、顧客が「欲しいもの」をAIが予測し、先回りして提供します。これにより、顧客満足度を大幅に高め、企業との長期的な関係を築くことができるのです。
Adobe Summit 2025では、この顧客体験オーケストレーションを実現するための、様々な新しい技術やツールが発表されました。特に、AIを活用した自動化とパーソナライゼーションが、今後のマーケティングの鍵を握ると強調されました。
Day 2の冒頭では、Adobe Experience Maker Awardsの受賞者が紹介されました。これは、顧客体験の向上に貢献した個人やチームを表彰するもので、世界中の企業が、顧客中心のビジネス戦略に取り組んでいることを示しています。
Adobe Summit 2025:主要な発表内容
Adobe Summit 2025では、以下の3つの柱を中心に、様々な発表が行われました。これらの柱は、互いに連携し、顧客体験オーケストレーションを実現するための基盤となります。
1.創造性の拡張: AIを活用し、誰もが簡単に高品質なコンテンツを作成できるツール群。
- Firefly: 画像、ベクトル、動画、音声など、多様なメディアに対応した生成AIモデル。商用利用可能な高品質なコンテンツを、誰でも簡単に作成できます。Fireflyは、単なる画像生成ツールではなく、企業のブランドアセットを学習し、ブランドイメージに沿ったコンテンツを生成できる点が大きな特徴です。例えば、企業のロゴや製品画像を学習させることで、ブランドのトーン&マナーに合った広告クリエイティブを自動的に生成することができます。
- Firefly Services: 企業が独自のカスタムモデルをトレーニングし、ブランド固有のアセットを生成できるAPI群。これにより、ブランドの一貫性を保ちながら、大量のパーソナライズされたコンテンツを効率的に制作できます。例えば、特定の製品ラインに特化したモデルをトレーニングすることで、その製品ラインの広告や販促資料を、統一されたスタイルで大量に生成することができます。
- Adobe Express: 専門的なスキルを持たないユーザーでも、ブランドに準拠したコンテンツを簡単に作成・編集できるツール。テンプレートの活用、AIによる翻訳、SNSへの直接投稿など、マーケターの作業を支援する機能が充実しています。例えば、SNS投稿用の画像を作成する際、Adobe Expressを使えば、デザインの知識がなくても、プロ並みのクオリティの画像を作成することができます。また、AIが自動的に翻訳してくれるので、多言語展開も簡単です。
2.マーケティングの進化: データを活用し、顧客一人ひとりに最適化された体験を提供するプラットフォーム。
- Adobe Experience Platform (AEP): コンテンツ、データ、顧客ジャーニーを統合する基盤。リアルタイムの顧客プロファイルに基づき、最適なタイミングで最適なコンテンツを配信し、パーソナライズされた体験を実現します。AEPは、顧客に関するあらゆるデータを一元管理し、リアルタイムに分析することで、顧客一人ひとりの状況を正確に把握することができます。
- Real-time CDP: 顧客データをリアルタイムに収集・分析し、顧客一人ひとりの状況を把握。このデータに基づいて、顧客に最適な情報を提供したり、パーソナライズされた体験を提供したりすることができます。
- Adobe Journey Optimizer: 顧客の行動履歴や属性に基づいて、最適なコミュニケーションを設計・実行。例えば、顧客が特定の商品を閲覧したら、関連する情報をメールで送信する、といったことが可能です。
- Customer Journey Analytics: 顧客の行動データを分析し、改善点を発見。Webサイトの離脱率が高いページを特定したり、コンバージョン率が低いキャンペーンを改善したりすることができます。
3.AIによる自動化: AIエージェントが、マーケターの煩雑な作業を自動化し、より戦略的な業務に集中できるよう支援。
- AIアシスタント: 自然言語で指示を出すだけで、データ分析、コンテンツ生成、キャンペーン設定など、様々なタスクを実行。例えば、「先月の売上データを分析して、最も売れた商品を教えて」と指示するだけで、AIアシスタントが自動的に分析を行い、結果を報告してくれます。
- AEP Agent Orchestrator: 複数のAIエージェントを連携させ、複雑なタスクを効率的に実行するための基盤。例えば、「新規顧客獲得のために、Webサイトのコンテンツを改善し、広告キャンペーンを実施する」という目標を与えると、AEP Agent Orchestratorは、複数のAIエージェントを連携させ、最適な実行プランを作成します。
- Brand Concierge: 顧客との対話を自動化し、パーソナライズされた情報を提供するAIエージェントアプリケーション。顧客からの問い合わせに自動的に対応したり、おすすめの商品を提案したりすることができます。
これらの技術は、単独で利用するだけでなく、互いに連携させることで、より大きな効果を発揮します。例えば、Fireflyで生成したコンテンツを、AEPを通じて顧客に配信し、AIアシスタントがその効果を分析する、といったことが可能です。
Adobe Summit 2025:他のイベントとの違い
他のマーケティングイベントとAdobe Summitの大きな違いは、Adobeが実際にこれらの技術を自社のビジネスで活用し、その成果を共有している点です。Adobeは、自社のマーケティング活動に、これらの最新技術を積極的に導入し、「Customer Zero(最初の顧客)」として、その効果を検証しています。
Summitでは、Adobe自身の事例だけでなく、コカ・コーラやMarriott、ServiceNowといったグローバル企業の事例も紹介されました。これらの企業は、AIを活用したマーケティングの具体的な方法や、その効果を詳細に説明し、参加者に実践的なヒントを提供しました。
例えば、Adobe Max Londonのキャンペーンでは、GenStudioを活用して、大量のパーソナライズされたコンテンツを短時間で生成し、キャンペーンの効率と効果を大幅に向上させました。具体的には、Firefly Servicesを使って、動画広告のバリエーションを自動的に生成し、ターゲット層に合わせて配信しました。David Wadwani氏のプレゼンテーションでは、この取り組みにより、クリエイターは反復作業に費やす時間を週21時間削減でき、また、大企業の80%がエンドツーエンドのコンテンツサプライチェーンの可視性を持っていないという課題が浮き彫りになりました。また、Adobe Expressを活用して、従業員が簡単にブランドに準拠したコンテンツを作成できるようにし、SNSでの情報発信を活性化させました。
これらの事例は、AIが単なる技術トレンドではなく、実際のビジネスに大きなインパクトを与えることを示しています。参加者は、これらの事例を通じて、自社のビジネスにAIをどのように応用できるのか、具体的なイメージを持つことができたでしょう。また、ServiceNowのCMO、Colin Fleming氏の「It takes a village to raise a brand(ブランドを育てるには村全体の協力が必要)」という言葉は、企業全体で顧客体験向上に取り組むことの重要性を示唆しています。
Adobe Summit 2025:AIがもたらす変革
Day1の基調講演動画(53:04〜)。David Wadhwani氏が、GenStudioとFirefly Servicesを活用したコンテンツ制作のデモンストレーションを行っています。Photoshop、Express、Firefly Servicesを連携させ、Adobe Max Londonのキャンペーンコンテンツを効率的に作成する様子が紹介されています。
AIエージェント:マーケターの強力なパートナー
Adobe Summit 2025で最も注目されたのが、「AIエージェント」です。これは、マーケターの仕事をサポートする、自律的に動くAIです。従来のAIツールは、人間が具体的な指示を与える必要がありましたが、AIエージェントは、目標を与えると、自分で考え、最適な方法を判断し、実行します。
例えば、「新規顧客を増やしたい」という目標を与えると、AIエージェントは、過去のキャンペーンデータや顧客の行動データを分析し、最適なターゲット層を特定します。そして、効果的な広告クリエイティブを自動的に生成し、適切なチャネルに配信し、その結果を分析して改善策を提案します。
Adobeは、特定の業務に特化した、以下のようなAIエージェントを発表しました。
- オーディエンスエージェント: 顧客セグメントの作成・管理を支援します。顧客データを分析し、最適なターゲット層を特定したり、類似顧客を発見したりすることができます。例えば、過去に特定の商品を購入した顧客や、Webサイトで特定のページを閲覧した顧客など、様々な条件でセグメントを作成することができます。
- ジャーニーエージェント: 顧客の行動履歴や属性に基づいて、最適なコミュニケーションを設計・実行します。例えば、顧客が特定の商品を閲覧したら、関連する情報をメールで送信する、といったことが可能です。また、顧客が購入をためらっている場合には、割引クーポンを提供したり、営業担当者から電話をかけたりするなど、顧客の状況に応じた対応を自動的に行うことができます。
- 実験エージェント: 新しいマーケティング施策の効果を自動的に検証します。A/Bテストなどを自動的に実行し、結果を分析して、より効果的な施策を提案します。例えば、異なる2つの広告クリエイティブをテストし、どちらがより多くのクリックを獲得できるかを検証することができます。
- データインサイトエージェント: 顧客行動データを分析し、マーケターが気づきにくい問題点を発見したり、改善策を提案したりします。例えば、Webサイトの離脱率が高いページを特定し、その原因を分析して、改善策を提案することができます。
- サイト最適化エージェント: Webサイトのパフォーマンスを最大化します。ページの表示速度を改善したり、コンバージョン率を高めるための施策を提案したりします。具体的には、画像の最適化、JavaScriptの遅延読み込み、キャッシュの活用など、様々な技術を駆使して、Webサイトのパフォーマンスを向上させます。また、A/Bテストなどを実施して、より効果的なWebサイトのデザインやコンテンツを提案します。
これらのエージェントは、Adobe Experience Platform (AEP) に統合されており、マーケターは自然言語で指示を出すことができます。例えば、「〇〇という商品に興味がある顧客セグメントを作成して」と指示するだけで、AIエージェントが自動的にセグメントを作成してくれます。
以下に、各AIエージェントの機能を比較する表を作成しました。
AIエージェント | 主な機能 | 活用例 |
---|---|---|
オーディエンスエージェント | 顧客セグメントの作成・管理、類似顧客の発見 | 特定の商品購入者、Webサイトの特定ページ閲覧者など、条件に基づいたセグメント作成 |
ジャーニーエージェント | 顧客の行動に合わせたコミュニケーションの設計・実行 | 商品閲覧後のフォローメール、購入をためらっている顧客への割引クーポン提供 |
実験エージェント | 新しいマーケティング施策の効果検証 | 異なる広告クリエイティブのA/Bテスト、Webサイトのデザイン変更の効果測定 |
データインサイトエージェント | 顧客行動データの分析、問題点の発見、改善策の提案 | Webサイトの離脱率が高いページの特定、コンバージョン率が低いキャンペーンの分析 |
サイト最適化エージェント | Webサイトのパフォーマンス最大化 | ページの表示速度改善、コンバージョン率向上のための施策提案 |
AIエージェントについてはこちらに概要を記載していますので、ぜひご覧ください!


関連記事:最近話題の AIエージェント ってなに? AIエージェント 完全ガイド
AEP Agent Orchestrator:AIエージェントを統合管理
複数のAIエージェントを連携させ、複雑なタスクを効率的に実行するための基盤が「AEP Agent Orchestrator」です。これは、AIエージェントたちの司令塔のような役割を果たします。Adobeが提供するエージェントだけでなく、企業が独自に開発したエージェントや、サードパーティのエージェントも統合できます。
例えば、「新規顧客獲得のために、Webサイトのコンテンツを改善し、広告キャンペーンを実施する」という目標を与えると、AEP Agent Orchestratorは、サイト最適化エージェント、オーディエンスエージェント、ジャーニーエージェントなどを連携させ、最適な実行プランを作成します。サイト最適化エージェントがWebサイトの改善点を特定し、オーディエンスエージェントがターゲット層を特定し、ジャーニーエージェントが広告キャンペーンを設計・実行する、といった具合です。
これにより、企業は、自社のニーズに合わせて、最適なAIエージェントの組み合わせを構築し、顧客体験オーケストレーションを加速させることができます。
Adobe Brand Concierge:顧客との対話を自動化
顧客との対話を自動化し、パーソナライズされた情報を提供するAIエージェントアプリケーションが「Adobe Brand Concierge」です。これは、顧客にとっての「デジタルコンシェルジュ」のような存在です。製品の検討から購入、そして購入後のサポートまで、顧客のライフサイクル全体をサポートします。
顧客は、チャットや音声など、様々な方法でBrand Conciergeと対話し、質問に答えたり、おすすめの商品を提案してもらったりすることができます。例えば、「〇〇という商品について詳しく知りたい」と質問すると、Brand Conciergeは、商品の詳細情報や、他の顧客のレビューなどを提供します。
B2B版のBrand Conciergeも発表され、企業は、顧客との関係構築を強化し、ビジネスを成長させることができます。例えば、B2B企業は、Brand Conciergeを活用して、顧客からの問い合わせに自動的に対応したり、製品のデモをリクエストしたり、営業担当者との面談を予約したりすることができます。これにより、顧客は、より迅速かつ効率的に情報を入手し、問題を解決することができます。
Adobe Summit 2025:実践事例から学ぶ
コカ・コーラ:AIを活用した広告制作の効率化
Day1の基調講演動画(40:05〜)。コカ・コーラCEOのJames Quincey氏が、AIを活用したマーケティングの現状と課題、そして今後の展望について語っています。特に、AIによる動画広告の自動生成と、パーソナライズされた広告の可能性に焦点を当てています。
コカ・コーラのジェームズ・クインシーCEOは、AIを活用した広告制作の効率化と、パーソナライズされた広告の可能性について語りました。コカ・コーラは、世界中で毎日22億杯もの製品を販売しており、そのブランドを維持・成長させるためには、常に革新的なマーケティング活動を行う必要があります。
AIは、広告制作のプロセスを劇的に変革します。例えば、AIを活用することで、大量の広告バリエーションを短時間で生成することができます。これにより、ターゲット層や地域、季節などに合わせて、最適な広告を配信することが可能になります。具体的には、Firefly Servicesを使って、異なる言語や文化圏に合わせた広告を自動的に生成したり、異なる年齢層や興味関心に合わせた広告を生成したりすることができます。
また、AIは、個々の顧客のデータに基づいて、最適な広告を自動的に生成し、配信することもできます。これにより、顧客一人ひとりの興味や関心に合わせた、よりパーソナルな広告体験を提供することができます。例えば、過去にコカ・コーラの製品を購入したことがある顧客には、新製品の広告を表示したり、特定のフレーバーを好む顧客には、そのフレーバーの広告を表示したりすることができます。
ただし、クインシーCEOは、現時点では、AIが生成する動画の品質には限界があり、特に人物の顔の解像度には課題が残っている、と率直に語りました。しかし、将来的には、AIが生成する広告が、個々の顧客に完全に最適化され、リアルタイムに変化するようになる可能性があると予測しています。これは、マーケティングの未来を大きく変える可能性を秘めています。
Marriott:AIエージェントで顧客体験を向上
Day2の基調講演動画(38:09〜)。Marriottの事例が紹介され、AIエージェントを活用して、どのように顧客体験を向上させているかが説明されています。特に、ビジネス旅行者の滞在延長を促進するためのパーソナライズされた体験に焦点を当てています。
Marriottは、AIエージェントを活用し、ビジネス旅行者の滞在延長を促進するパーソナライズされた体験を提供しています。Marriottは、世界中に9,500以上のホテルを展開しており、その顧客体験を向上させるために、常に最新のテクノロジーを活用しています。
AIエージェントは、顧客の予約データや過去の行動データを分析し、滞在延長の可能性が高い顧客を特定します。そして、顧客の好みに合わせた特典やアクティビティ(例えば、地元のレストランの割引や、観光ツアーの提案など)を提案し、滞在延長を促します。例えば、過去にゴルフを楽しんだことがある顧客には、ゴルフ場の割引情報を提案したり、美術館を訪れたことがある顧客には、地元の美術館の特別展の情報を提案したりすることができます。
また、Marriottは、Adobe Brand Conciergeを活用し、9,000以上のホテルで、パーソナライズされたコンシェルジュサービスを提供しています。顧客は、チャットや音声で、レストランの予約や観光情報の入手、空港送迎の手配など、様々なサービスを利用できます。これにより、顧客は、より快適で充実した滞在体験を得ることができます。例えば、到着前に、ホテルのレストランの予約や、スパの予約を済ませておくことができます。
Marriottの事例は、AIが顧客体験を向上させるだけでなく、企業の収益向上にも貢献できることを示しています。具体的には、AIを活用することで、滞在延長率が向上し、顧客単価が上昇しました。
ServiceNow:B2Bマーケティングの進化
Day2の基調講演より(1:19:08〜)。ServiceNowのCMO、Colin Fleming氏が登壇。自身のキャリアを振り返り、F1レーサーを目指した過去からCMOへの転身、そして常に感じてきたインポスター症候群について語りました。その中で、時速230マイルでの運転とマーケティング組織のリーダーシップには意外な共通点があると述べ、自身の経験から得た教訓を紹介。Adobe Summit初参加となる今回のイベントへの期待と、Adobeとの協業に対する意欲を表明しました。
ServiceNowは、Adobe Experience Platformを活用し、B2Bマーケティングを進化させています。ServiceNowは、企業向けのクラウドプラットフォームを提供しており、その顧客は、世界中の大企業や政府機関など、多岐にわたります。
ServiceNowのCMOであるColin Fleming氏は、B2Bマーケティングの課題として、複雑な言葉遣い、人間味の欠如、ブランドとデマンドの分離、摩擦の多い顧客体験などを挙げました。これらの課題は、B2Bマーケティングが、長年、製品中心の考え方から脱却できていないことに起因しています。
ServiceNowは、Adobeのソリューションを活用し、これらの課題を克服し、顧客中心のマーケティングを実現しています。具体的には、AIを活用したリサーチ、コンテンツ生成、ブランド管理、営業とマーケティングの連携強化などに取り組んでいます。
例えば、AIを活用して、顧客のニーズや課題を深く理解し、それらに合わせたコンテンツを生成します。また、Adobe Brand Conciergeを活用して、顧客からの問い合わせに自動的に対応したり、製品のデモをリクエストしたり、営業担当者との面談を予約したりすることができます。さらに、営業チームとマーケティングチームが連携し、顧客の購買プロセス全体をサポートすることで、より効果的なマーケティング活動を実現しています。
ServiceNowの事例は、B2B企業も、B2C企業と同様に、顧客中心のマーケティング戦略を採用することで、ビジネスを成長させることができることを示しています。そして、「It takes a village to raise a brand(ブランドを育てるには村全体の協力が必要)」という言葉にあるように、企業全体で顧客体験向上に取り組むことの重要性を強調しました。具体的には、マーケティング部門だけでなく、営業部門、カスタマーサービス部門、製品開発部門など、すべての部門が連携し、顧客に最高の体験を提供することを目指しています。
Adobe Summit 2025:B2Bマーケティングの新時代
Day2の基調講演より(1:05:20〜)。AdobeのAmit Ahuja氏が、B2B Go-to-Market Orchestrationについて解説。B2Bマーケティングの進化を1.0(顧客記録のデジタル化)、2.0(ABM)、そして3.0(AIオーケストレーションジャーニー)に分類し、AIによるB2Bマーケティングの未来を提示しました。B2B 3.0では、マーケティング、セールス、顧客サービスを統合し、フルファネルでアカウントとリードの両方を考慮したジャーニーをAIで最適化。データ基盤、B2Bパーソナライゼーション、リアルタイムエンゲージメントの重要性を強調し、新機能として、アカウントダッシュボード、Audience Agent、Brand Concierge B2B版、Customer Journey Analytics B2B版を紹介しました。
B2B 3.0:AIによるジャーニーオーケストレーション
Adobeは、B2Bマーケティングの新たな段階として、「B2B 3.0」を提唱しました。これは、AIを活用し、顧客の購買プロセス全体を最適化する、という考え方です。従来のB2Bマーケティングは、リード獲得(見込み客の獲得)に重点が置かれていましたが、B2B 3.0では、顧客の購買プロセス全体をサポートし、顧客との長期的な関係を構築することを目指します。
B2B 3.0では、以下の4つの要素が重要になります。
- フルファネル戦略: マーケティング、営業、カスタマーサービスを連携させ、顧客の購買プロセスの初期段階(情報収集)から、最終段階(購入後のサポート)まで、一貫したサポートを提供します。
- 従来のB2Bマーケティング: リード獲得後、営業に引き渡し、その後のフォローは営業任せ。
- B2B 3.0: マーケティング、営業、カスタマーサービスが連携し、顧客の状況に合わせて、適切な情報やサポートを提供。
- リードとアカウントの両方を考慮: リード(個人)とアカウント(企業)の両方の情報を活用し、最適なアプローチを行います。例えば、個人の興味関心に基づいて情報を提供しつつ、企業全体のニーズも考慮して提案を行います。
- 従来のB2Bマーケティング: リードの情報のみに基づいて、画一的なアプローチを行う。
- B2B 3.0: リードとアカウントの両方の情報を活用し、パーソナライズされたアプローチを行う。
- 購買プロセスの把握: AIが、顧客の購買プロセスにおける現在位置を把握し、適切な情報を提供します。例えば、顧客が製品の比較検討段階にあるのか、導入を決定する段階にあるのかを判断し、それぞれに合わせた情報を提供します。
- 従来のB2Bマーケティング: 顧客の購買プロセスの状況を把握することが難しく、適切なタイミングで情報を提供できない。
- B2B 3.0: AIが顧客の行動を分析し、購買プロセスの状況をリアルタイムに把握。
- リアルタイムの最適化: 顧客の行動に合わせて、リアルタイムにマーケティング施策を最適化します。例えば、顧客がWebサイトで特定のページを閲覧したら、関連する情報をメールで送信したり、営業担当者から電話をかけたりします。
- 従来のB2Bマーケティング: マーケティング施策の効果測定に時間がかかり、改善サイクルが遅い。
- B2B 3.0: AIがリアルタイムに効果を測定し、自動的に最適化を行う。
以下に、B2B 3.0の各要素をまとめた表を作成しました。
要素 | 従来のB2Bマーケティング | B2B 3.0 |
---|---|---|
フルファネル戦略 | リード獲得後、営業に引き渡し | マーケ、営業、CSが連携し、顧客の状況に合わせてサポート |
リードとアカウント | リードの情報のみ | リードとアカウント両方の情報を活用 |
購買プロセスの把握 | 困難 | AIがリアルタイムに把握 |
リアルタイムの最適化 | 時間がかかる | AIが自動的に最適化 |
AdobeのB2Bソリューション:データ、パーソナライゼーション、連携
Adobeは、B2B 3.0を実現するための、以下の3つのソリューションを提供しています。
- データ基盤: アカウントと購買グループの概念を導入し、顧客データを一元管理します。B2Bの購買プロセスでは、複数の担当者が関与することが多いため、企業(アカウント)全体の情報と、個々の担当者(購買グループ)の情報を紐付けて管理することが重要です。
- Adobe Experience Platform (AEP): B2Bの顧客データを一元管理するためのプラットフォーム。
- Real-time CDP (B2B Edition): リアルタイムに顧客データを収集・分析し、アカウントと購買グループの情報を可視化。
- パーソナライゼーション: AIを活用したコンテンツ生成、B2B向けBrand Conciergeを提供します。AIを活用して、顧客のニーズや課題に合わせたコンテンツを自動的に生成したり、B2B版のBrand Conciergeを活用して、顧客からの問い合わせに自動的に対応したり、製品のデモをリクエストしたり、営業担当者との面談を予約したりすることができます。
- Adobe GenStudio: AIを活用して、B2B向けのコンテンツ(ホワイトペーパー、eBook、ブログ記事など)を自動的に生成。
- Firefly Services: 企業独自のブランドアセットを学習させ、ブランドイメージに沿ったコンテンツを生成。
- Adobe Brand Concierge (B2B Edition): 顧客との対話を自動化し、パーソナライズされた情報を提供。
- リアルタイムエンゲージメント: 営業への通知、Customer Journey Analytics (B2B Edition)を提供します。顧客の行動をリアルタイムに把握し、営業担当者に通知したり、Customer Journey Analytics (B2B Edition)を活用して、顧客の購買プロセス全体を分析し、改善策を立案したりすることができます。
- Adobe Journey Optimizer (B2B Edition): 顧客の行動に基づいて、最適なタイミングで、最適なチャネルを通じて、パーソナライズされたメッセージを配信。
- Customer Journey Analytics (B2B Edition): B2Bの購買行動を詳細に分析し、AIを活用したインサイトを提供。
これらのソリューションは、Adobe Experience Platform (AEP) 上に構築されており、企業は、B2Bマーケティングの効率化と成果向上を実現できます。
Customer Journey Analytics (B2B Edition): 購買行動分析
Customer Journey Analytics (B2B Edition)は、B2Bの購買行動を詳細に分析し、AIを活用したインサイトを提供するツールです。B2Bの購買プロセスは、複雑で長期にわたることが多いため、顧客の行動を詳細に分析し、ボトルネックとなっている部分や改善の余地がある部分を特定することが重要です。
企業は、このツールを活用することで、顧客の購買プロセスにおける課題を発見し、改善策を立案することができます。例えば、Webサイトの特定のページで離脱率が高い場合は、コンテンツを改善したり、ナビゲーションを見直したりすることができます。
また、営業チームは、顧客の状況を把握し、最適なタイミングでアプローチすることができます。例えば、顧客が製品の価格情報を確認した直後に、営業担当者から電話をかけることで、成約率を高めることができます。さらに、AIが、顧客の行動パターンを分析し、将来の行動を予測することも可能です。
Adobe Summit 2025:未来への展望
Adobe Summit 2025では、創造性、マーケティング、AIの融合が、顧客体験オーケストレーションの新時代を切り開くことが示されました。AIエージェントの進化、オープンなエコシステムの拡大、そして、各業界のニーズに対応したソリューションの提供を通じて、Adobeは、企業が顧客とのエンゲージメントを深め、ビジネス成果を最大化できるよう、継続的なイノベーションを推進していくでしょう。特に、B2Bマーケティングにおいては、AIを活用した「B2B 3.0」が、今後の主流になると予測されます。
企業は、これらの技術を活用し、顧客中心のビジネスモデルを構築し、競争優位性を確立することが求められます。AIは、マーケティングの効率化だけでなく、顧客体験の向上、そしてビジネス全体の成長に貢献する、強力なツールとなるでしょう。そして、その変化は、B2Cだけでなく、B2Bの世界にも大きな影響を与えるでしょう。