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OpenAI o3 / o4-mini 登場!ChatGPTが全ツール連携で知能と実用性の新基準へ

OpenAI o3 / o4-mini 登場!ChatGPTが全ツール連携で知能と実用性の新基準へ
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OpenAIから新しいAIモデル、「o3」と「o4-mini」が登場しましたね。「AIがさらに賢くなるのは嬉しいけど、専門的すぎて自分には関係ないかも…」「新しいモデルって言われても、具体的に何がどう変わったのかよくわからない」と感じている方もいるのではないでしょうか?

確かに、AIの進化は目覚ましく、専門的な話題も多いですよね。でも、今回の「 OpenAI o3 / o4-mini 」は、単に賢くなっただけでなく、私たちの日々の作業や問題解決の方法を大きく変える可能性を秘めているんです。まるで、優秀なアシスタントがさらに多くの道具(ツール)を使えるようになったようなもの。

これまで以上に複雑な質問に答えたり、複数の作業を連携させたりできるようになったことで、専門家だけでなく、私たち一般ユーザーにとっても、より身近で頼れる存在へと進化しました。特に、自分で考えてツールを使いこなす「エージェント的」な能力の向上は注目すべき点です。

この記事では、OpenAI o3 / o4-miniの概要から具体的な性能、技術的な背景、そして私たちにとってのメリットまで、要点を絞ってわかりやすく解説していきます。

目次

OpenAI o3 / o4-miniとは? – 高校生にもわかる次世代AIモデルの概要

OpenAIが新たに発表したo3o4-miniは、AIの能力を次のレベルへと引き上げる可能性を秘めたモデルです。その特徴と進化点を、ポイントを絞って見ていきましょう。

応答前に深く思考する「oシリーズ」の最新版

o3o4-miniは、OpenAIの「oシリーズ」に属します。このシリーズの最大の特徴は、応答する前により長く「考える」ように設計されている点です。

  • 深い思考: 複雑な問題に対し、多角的に検討し、質の高い答えを導き出します。
  • 高度な知的能力: 単なる情報検索を超え、創造的な問題解決や新しいアイデアの生成能力を持ちます。トップ科学者からもその能力が高く評価されています。
  • 専門分野での活用: 法律、システム設計など、専門的な領域での応用事例も報告されています。

例えるなら、難しい問題にじっくり取り組む優等生のようなAIで、より深い洞察や革新的な発想が期待できます。

ChatGPTの全ツール連携!エージェント的な進化

今回のモデルの最も画期的な点は、ChatGPT内のほぼ全てのツールと連携できるようになったことです。これはAIの役割を大きく変える進化です。

連携可能な主なツール:

  • ウェブ検索: 最新情報や外部知識の取得。
  • Pythonコード実行: データ分析、計算、グラフ作成など。
  • 画像理解: アップロードされた画像(低品質でも可)の内容を解釈。
  • 画像生成 (DALL·E): 指示に基づき画像を生成。
  • ファイル分析: PDFやCSVなどのファイルを読み込み分析。

重要な進化点:

  • 自律的なツール選択・利用: モデル自身が「いつ、どのツールを、どのように使うべきか」を推論し、判断します。
  • 戦略的な連携: 複数のツールを組み合わせて、複雑なタスク(例:市場分析レポート作成)を自律的に実行できます。
  • エージェント能力: ユーザーの指示を待つだけでなく、自らタスクを実行する「エージェント」としての能力が大幅に向上しました。

これにより、AIはより能動的で強力な問題解決パートナーとなります。

o3とo4-mini、それぞれの強みと違い

o3o4-miniは、それぞれ異なる強みを持っています。

モデル特徴得意分野主な用途
OpenAI o3OpenAI史上最も強力な推論モデル(フラッグシップ)コーディング (Codeforces, SWE-benchでSOTA) 数学・科学 (AIME, GPQA Diamondで高スコア) 視覚認識 (MMMU, MathVista等でSOTA) 複雑な問題解決、創造的アイデア生成最高の性能が求められるタスク、研究開発、専門的な分析
OpenAI o4-mini高速・低コストに最適化された小型モデル数学 (AIMEでo3超えも) コーディング (Codeforcesでo3に匹敵) 視覚タスク 高スループット処理速度・コストと性能のバランスが重要なタスク、大量処理、チャットボット

共通の進化点:

  • 指示追従性向上: 複雑な指示にもより正確に対応。
  • 検証可能性向上: ウェブソース引用などで根拠を確認可能に。
  • 自然な対話: 記憶機能を活用し、パーソナライズされた会話が可能。

ユーザーは、求める性能、コスト、速度、タスク内容に応じて、これらのモデルを使い分けることができます。

OpenAI o3 / o4-miniの進化点 – 何が変わったのか?

OpenAI o3: コーディング、数学、科学、視覚認識の最前線

OpenAI o3は、特に高度な知的作業が求められる主要分野でAIの能力を新たな次元に引き上げました。

  • コーディング: Codeforcesでのトップレベルの成績や、SWE-benchでのSOTA達成は、複雑なアルゴリズムの実装から実世界のコード修正まで、高度な開発タスクに対応できることを示します。
  • 数学・科学: AIMEやGPQA Diamondといった難関ベンチマークでの驚異的な正答率は、深い論理的思考力と専門知識の応用能力を証明しています。
  • 視覚認識: MMMU、MathVista、CharXiv-ReasoningといったマルチモーダルベンチマークでのSOTA達成は、図やグラフを含む視覚情報を深く理解し、推論に活用できる能力を示しています。

o3は、答えが容易に見つからない複雑な問題に対して、多角的な分析を行い、創造的な解決策や新しい仮説を生み出す「思考のパートナー」となり得るポテンシャルを持っています。特に、生物学、数学、工学などの分野での活用が期待されています。また、実世界のタスクにおけるエラー率が前世代より20%削減されたことも、その実用性と信頼性を示しています。

OpenAI o4-mini: 高速・低コストな推論と驚異的な性能

OpenAI o4-miniは、「mini」という名前ながら、高速・低コストで驚くべき性能を実現したモデルです。

  • 卓越したコストパフォーマンス: 特に数学(AIMEベンチマークでo3を上回るスコア)、コーディング視覚タスクにおいて、コストに見合わない高い能力を発揮します。
  • 高速・高スループット: 応答速度が速く、API利用料金もo3より大幅に安価(入力約1/8、出力約1/5)。利用制限も緩いため、大量処理やリアルタイム性が求められる用途に最適です。
  • 幅広い応用: データサイエンスなど専門分野でも前世代o3-miniを上回り、マルチモーダルにも対応。個人開発者やスタートアップなど、コストを抑えたいユーザーにも導入しやすくなりました。

o4-miniは、速度・コスト・性能のバランスが非常に高く、多くの一般的なタスクで十分以上の能力を発揮します。AI活用の裾野を広げる、実用的で使いやすいモデルと言えるでしょう。

指示追従性と検証可能性の向上

OpenAI o3OpenAI o4-miniは、ユーザーとのインタラクション品質も向上しました。

  • 指示追従性: 複雑なマルチステップの指示(Scale MultiChallengeベンチマーク参照)に対しても、文脈を維持し、要求されたタスクをより正確に実行できるようになりました。
  • 検証可能性: ウェブ検索ツールと連携し、回答の根拠となったウェブソースを引用する能力が向上しました。これにより、ユーザーは情報の出所を容易に確認でき、回答の信頼性を評価しやすくなります。

これらの改善により、AIは単なる情報提供者から、指示を正確に理解し、根拠を示せる、より信頼できるアシスタントへと進化しています。

より自然でパーソナライズされた対話へ

o3o4-miniは、記憶(Memory)機能と過去の会話履歴を活用し、より自然でパーソナライズされた対話を実現します。

  • 文脈理解: ユーザーの好みや関心、以前の会話内容を記憶し、応答に反映させます。
  • 効率向上: 同じ背景情報を繰り返し説明する必要がなくなります。
  • 親近感: モデルがユーザーを「覚えている」と感じさせ、よりスムーズなコミュニケーションを可能にします。

高度な推論能力と自然な対話能力の融合により、AIは複雑な問題を相談できるパートナーでありながら、日常的な会話も楽しめる、より身近な存在へと進化しています。

OpenAIの前バージョンである、o3-miniやo1については、以下の記事をぜひご覧ください!

関連記事:OpenAI o3-mini の概要と性能比較:最新小型推論モデルの詳細

関連記事:OpenAIが最新推論モデルのo1とo1 pro modeをリリース!

OpenAI o3 / o4-miniの驚異的な性能 – ベンチマーク結果詳解

OpenAI o3OpenAI o4-miniは、様々な学術的ベンチマークおよび実世界のタスクにおいて、これまでのモデルを凌駕する性能を示しています。ここでは、主要な分野におけるベンチマーク結果を、競合モデルとの比較も交えながら詳しく見ていきましょう。

数学・コーディング(基礎能力): AIME & Codeforces

モデルの基礎的な推論能力と問題解決能力を示すベンチマークです。

左と中央のグラフはAIME数学コンテスト(2024年版、2025年版)の正答率、右のグラフはCodeforces競技プログラミングのELOレーティングを示します。o4-miniはAIMEでツール未使用にも関わらず最高スコアを達成し、数学能力の高さを証明しました。Codeforcesでは、o3とo4-mini(ターミナル利用時)が人間のトップクラスに匹敵するELOを獲得しており、コーディング能力も飛躍的に向上しています。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

左と中央のグラフはAIME数学コンテスト(2024年版、2025年版)の正答率、右のグラフはCodeforces競技プログラミングのELOレーティングを示します。o4-miniはAIMEでツール未使用にも関わらず最高スコアを達成し、数学能力の高さを証明しました。Codeforcesでは、o3o4-mini(ターミナル利用時)が人間のトップクラスに匹敵するELOを獲得しており、コーディング能力も飛躍的に向上しています。

コーディング(実践能力): SWE-Lancer & SWE-Bench

より実世界のソフトウェア開発タスクに近い能力を評価します。

左のSWE-Lancerグラフはフリーランスタスクでの獲得報酬額(ドル)、右のSWE-BenchグラフはGitHub課題解決の正答率(%)です。o3-highはSWE-Lancerで最高報酬を獲得し、SWE-Benchではo3がSOTA (69.1%) を達成しました。o4-miniも両ベンチマークで高い性能を示しており、実用的な開発タスクへの適応能力が大幅に向上したことがわかります。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

左のSWE-Lancerグラフはフリーランスタスクでの獲得報酬額(ドル)、右のSWE-BenchグラフはGitHub課題解決の正答率(%)です。o3-highはSWE-Lancerで最高報酬を獲得し、SWE-Benchではo3SOTA (69.1%) を達成しました。o4-miniも両ベンチマークで高い性能を示しており、実用的な開発タスクへの適応能力が大幅に向上したことがわかります。

コーディング(編集能力): Aider Polyglot

多言語にわたるコード編集能力を評価します。

グラフの説明: Aider Polyglotベンチマークの結果です。「whole」はタスク全体、「diff」は変更箇所の正解率を示します。o3-highが「whole」で81.3%、「diff」で79.6%と他を圧倒しており、複雑な多言語コード編集タスクに対する高い能力が示されています。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

Aider Polyglotベンチマークの結果です。「whole」はタスク全体、「diff」は変更箇所の正解率を示します。o3-highが「whole」で81.3%、「diff」で79.6%と他を圧倒しており、複雑な多言語コード編集タスクに対する高い能力が示されています。

科学・専門知識: GPQA & Humanity’s Last Exam (HLE)

高度な専門知識と推論能力、および分野横断的な問題解決能力を評価します。

左は博士レベル科学問題GPQA Diamondの正答率、右は分野横断エキスパート問題HLEの正答率です。GPQAではo3 (83.3%) とo4-mini (81.4%)(ツールなし)が高いスコアを示しました。HLEでは、ツール(Python+Browsing)を利用することでo3 (24.90%) とo4-mini (17.70%) が性能を大幅に向上させ、特にo3は人間とAIの協調調査(Deep research 26.60%)に迫る結果を出しました。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

左は博士レベル科学問題GPQA Diamondの正答率、右は分野横断エキスパート問題HLEの正答率です。GPQAではo3 (83.3%)o4-mini (81.4%)(ツールなし)が高いスコアを示しました。HLEでは、ツール(Python+Browsing)を利用することでo3 (24.90%)o4-mini (17.70%) が性能を大幅に向上させ、特にo3は人間とAIの協調調査(Deep research 26.60%)に迫る結果を出しました。

マルチモーダル能力: MMMU, MathVista & CharXiv-Reasoning

画像と言語情報を統合して理解・推論する能力を評価します。

左から順に、大学レベルマルチモーダル問題MMMU、視覚数学推論MathVista、科学論文図表推論CharXiv-Reasoningの正答率です。o3はこれら全てでSOTAを達成(それぞれ82.9%, 86.8%, 78.6%)。o4-miniも非常に高いスコア(81.6%, 84.3%, 72.0%)を記録し、両モデルの高度なマルチモーダル理解・推論能力を示しています。(*o3結果は更新済み)
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

左から順に、大学レベルマルチモーダル問題MMMU、視覚数学推論MathVista、科学論文図表推論CharXiv-Reasoningの正答率です。o3はこれら全てでSOTAを達成(それぞれ82.9%, 86.8%, 78.6%)。o4-miniも非常に高いスコア(81.6%, 84.3%, 72.0%)を記録し、両モデルの高度なマルチモーダル理解・推論能力を示しています。(*o3結果は更新済み)

指示追従性とエージェント的ツール利用能力: Scale MC & BrowseComp

複雑な指示に従う能力と、自律的にウェブ検索を行う能力を評価します。

左は複数ターン指示追従Scale MultiChallengeの正答率、右はエージェント的ブラウジングBrowseCompの正答率です。Scale MCではo3 (56.51%) が最高性能。BrowseCompでは、o3 (ツールあり, 49.7%) がDeep research (51.5%)に迫り、o4-mini (ツールあり, 28.3%) も大幅に向上しました。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

左は複数ターン指示追従Scale MultiChallengeの正答率、右はエージェント的ブラウジングBrowseCompの正答率です。Scale MCではo3 (56.51%) が最高性能。BrowseCompでは、o3 (ツールあり, 49.7%) がDeep research (51.5%)に迫り、o4-mini (ツールあり, 28.3%) も大幅に向上しました。

ツール利用(ファンクションコーリング): Tau-bench

外部関数(APIなど)を正確に呼び出す能力を評価します。

Tau-benchにおけるファンクションコーリングの正答率(AirlineドメインとRetailドメイン)です。o3-highとo4-mini-highは前世代から改善された性能を示し、外部システムとの連携能力向上を示唆しています。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

Tau-benchにおけるファンクションコーリングの正答率(AirlineドメインとRetailドメイン)です。o3-higho4-mini-highは前世代から改善された性能を示し、外部システムとの連携能力向上を示唆しています。

競合モデルとの性能比較

OpenAI o3o4-miniの性能を、他の主要な最新モデルであるGoogle Gemini 2.5 ProAnthropic Claude 3.7 Sonnetと比較してみましょう。以下の表は、4つのモデルすべてで評価されている主要なベンチマークの結果をまとめたものです。ただし、評価条件(ツール使用の有無、複数試行、コンテキスト長など)がモデルや報告元によって異なる場合があるため、直接的な比較には注意が必要です。

ベンチマークOpenAI o3OpenAI o4-miniGemini 2.5 ProClaude 3.7 Sonnet注記
GPQA Diamond
(Science Reasoning)
83.3%
(no tools)
81.4%
(no tools)
84.0%
(multiple attempts)
78.2% / 84.8%
(no ext / 64k ext)
o3/o4mはツールなし。Gemini/Claudeは複数試行や拡張思考を含む可能性。
SWE-bench verified
(Agentic Coding)
69.1%68.1%63.8%62.3% / 70.3%
(pass@1 / bash+tool)
o3がSOTA。Claudeはツール利用で向上。条件の差異に注意。
MMMU
(Multimodal QA)
82.9%81.6%81.7%
(pass@1)
86.1% / 83.2%
(64k ext / no ext)
Claude(拡張思考)が最高。o3/o4m/Geminiも高レベルで僅差。
AIME 2024
(Math)
91.6%
(no tools)
93.4%
(no tools)
92.0% / 93.3%
(pass@1 / multiple)
61.3% / 80.0%
(64k ext)
o4-mini(ツールなし)がGemini(複数試行)に匹敵。数学能力の高さを示す。
AIME 2025
(Math)
88.9%
(no tools)
92.7%
(no tools)
86.7% / 93.3%
(pass@1 / multiple)
N/Ao4-mini(ツールなし)がGemini(複数試行)に匹敵。
Aider Polyglot (diff)
(Code Editing)
79.6%
(o3-high)
58.2%
(o4m-high)
68.6%N/Ao3-highがGeminiを上回る。o4m-highはGeminiより低い。
Aider Polyglot (whole)
(Code Editing)
81.3%
(o3-high)
68.9%
(o4m-high)
74.0%N/Ao3-highが突出して高い性能。

性能上の特長まとめ:

  • OpenAI o3/o4-miniの強み:
    • 数学 (AIME): 特にo4-miniは、ツールを使わなくてもGemini 2.5 Pro (複数試行)やClaude 3.7 Sonnet (拡張思考)に匹敵するか、それを上回る極めて高い性能を示します。数学的推論能力はoシリーズの大きな強みです。
    • コーディング (SWE-bench, Aider): o3はSWE-bench verifiedとAider Polyglot (whole)で競合を上回り、現時点でのSOTAを達成しています。特に複雑なコード編集能力は突出しています。o4-miniもSWE-benchでは競合と同等レベルの高い性能です。
    • マルチモーダル (MMMU, MathVista, CharXiv): o3はMMMU, MathVista, CharXivでSOTAを達成しており、画像と言語の統合理解能力が非常に高いです。o4-miniもこれらのベンチマークで高い性能を示します。
  • 競合モデルとの比較:
    • Gemini 2.5 Pro: 数学 (AIME multiple attempts) や科学推論 (GPQA multiple attempts) で最高レベルの性能を発揮します。コーディングも高いですが、o3には一歩譲る場面もあります。
    • Claude 3.7 Sonnet: 拡張思考 (extended thinking) を有効にした場合に、MMMUやGPQAで最高レベルの性能を示します。コーディングもツール利用で高い性能を発揮します。
  • 総括: o3は特にコーディングとマルチモーダル推論、o4-miniは数学とコストパフォーマンスにおいて、現行の競合モデルに対して明確な優位性を持っています。Gemini 2.5 ProとClaude 3.7 Sonnetもそれぞれ得意分野で最高レベルの性能を発揮しており、モデル選択においては具体的なタスクと要求される性能、コスト、そして評価条件の詳細な比較検討が重要になります。

OpenAI o3 / o4-miniの核心技術 – なぜ高性能なのか?

OpenAI o3OpenAI o4-miniの目覚ましい性能向上は、単一の技術革新によるものではなく、複数の重要な技術的進歩が組み合わさった結果です。特に、強化学習(RL)のスケーリングと、ツール利用能力の獲得、そしてマルチモーダル推論能力の統合が、その核心にあると考えられます。

強化学習(RL)スケーリングの継続

AIモデル性能向上の鍵となる「スケーリング則」(計算量を増やせば性能が向上する法則)は、事前学習だけでなく強化学習(RL)においても有効であることが、o3の開発を通じて確認されました。OpenAIは、モデルが応答前に内部で「思考」するプロセスを最適化するRLにおいて、訓練計算量と推論時計算量の両方をo1比で1桁(10倍)以上増加させました。その結果、AIMEのような難関ベンチマークで性能が向上し続け、まだ性能向上の余地があることが示唆されました。これは、「考えれば考えるほど性能が向上する」という直観を裏付ける重要な知見であり、今後のAI開発におけるRLの重要性を示しています。

ツール利用能力の強化学習による獲得

o3o4-miniの大きな特徴は、単にツールを使えるだけでなく、「いつ」「どのように」ツールを使うべきかを自ら判断する能力を、強化学習(RL)を通じて獲得した点です。これにより、モデルは目標達成のためにツール利用を戦略的に計画・実行できるようになりました。状況に応じたツール選択、複数ツールの戦略的連携、実行結果に基づくアプローチ修正といった柔軟な行動が可能となり、特にオープンエンドな状況複雑なワークフローにおいて高い能力を発揮します。これはAIが自律的なエージェントへと進化するための重要な基盤技術です。

画像とともに思考するマルチモーダル推論

o3o4-miniにおける革新的な進歩の一つが、画像を推論プロセスに直接統合する能力、「画像とともに思考する」能力です。

この画像は、複数のオブジェクトを含む写真のような視覚情報をどのように思考に取り込むかを示唆しています。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

この画像は、複数のオブジェクトを含む写真のような視覚情報をどのように思考に取り込むかを示唆しています。

モデルは単に画像を見るだけでなく、思考の一部として能動的に活用します。ホワイトボードの写真、教科書の図、手書きスケッチなどを解釈し、低品質な画像にも対応。ツール連携により、画像を回転・ズーム・変換しながら分析を進めることも可能です。この能力は、MMMUやMathVistaのようなマルチモーダルベンチマークでSOTAを達成する原動力となり、視覚情報が重要な科学、工学、デザイン、教育などの分野で、従来AIが対応できなかった問題解決を可能にします。詳細は視覚推論リサーチブログを参照してください。

エージェント的なツール利用へ – OpenAI o3 / o4-miniの実力

OpenAI o3OpenAI o4-miniは、単なる言語モデルを超え、自律的にツールを使いこなして複雑な問題を解決する「エージェント」としての能力を大きく向上させました。これは、AIがより能動的にユーザーを支援し、タスクを実行できるようになったことを意味します。

ChatGPT内の全ツールへのアクセス

新しいモデルは、ChatGPT内で提供される全ての主要ツール(ウェブ検索、Pythonコード実行、画像生成、ファイル分析など)にアクセスし、活用できます。これにより、モデルはテキスト、ウェブ情報、構造化データ、視覚情報、プログラム処理能力といった多様なリソースを統合的に扱い、より現実に近い複雑な問題に対応できます。

複数ツールを連携させる問題解決能力

o3o4-miniの真価は、複数のツールを自律的かつ効果的に連携させる能力にあります。モデルは、目標達成のために最適なツール選択と実行順序を推論します。「カリフォルニア州の電力使用量予測」の例では、ウェブ検索→Python分析→グラフ生成→テキスト説明というプロセスを実行します。重要なのは、途中で得た情報に基づいて柔軟に対応を変える点です。情報不足なら再検索し、エラーが出ればコードを修正します。複雑なタスクでは数百回のツール呼び出しを行うこともあり、このような計画・実行・評価・修正のサイクルを自律的に回せる能力が「エージェント的」能力の中核です。

API経由でのカスタムツール連携(Function Calling)

開発者はAPIを通じて、これらの能力を自身のアプリケーションに組み込めます。中核となるのはFunction Callingと新しいResponses APIです。Function Callingにより、開発者は独自の関数(外部API連携、DB操作など)を定義し、モデルにそれを呼び出させることができます。モデルは文脈から呼び出すべき関数と引数を判断します。Responses APIは、推論サマリーの取得や、Function Calling周辺の推論トークン保持(ツール連携精度向上)といった機能を持ち、エージェント開発を支援します。将来的には、ウェブ検索などの組み込みツールのAPIサポートも予定されています。詳細は公式ドキュメントを参照してください。(一部開発者は組織認証が必要な場合があります。)

具体的なユースケース例(要約)

ブログで紹介されたo3のデモは、その応用範囲の広さを示しています。

  • 数学研究: 複雑な条件を満たす特殊な多項式を特定し、Pythonツールで巨大数値を計算。
  • ビジネス分析: ホテル進出先データをウェブ検索・分析し、Pythonでグラフ化、リスクも考慮した戦略を推奨。
  • 科学研究: EVバッテリー技術に関する論文等をウェブ検索し、グラフと共に技術進歩の影響を解説。
  • スポーツ分析: MLB統計をウェブ検索で取得し、Pythonでグラフ化し、ルール変更の影響を分析。
  • 視覚推論: 不鮮明なスケジュール画像を解析し、制約下で全ショー網羅計画を作成。

これらの例は、o3o4-miniが高度な専門知識、論理推論、マルチモーダル理解、ツール連携を組み合わせ、従来人間にしかできなかった高度な知的作業を支援できることを示しています。

コスト効率の進化 – OpenAI o3 / o4-miniの費用対効果

OpenAI o3OpenAI o4-miniは、性能向上と同時にコスト効率の改善も実現しており、高性能AIをより利用しやすくしています。

コスト vs パフォーマンス: o3-miniとo4-miniの比較

以下のグラフは、AIME 2025とGPQA Diamondベンチマークにおける性能(縦軸)と推定推論コスト(横軸、対数スケール)の関係を示しています。

左はAIME 2025数学、右はGPQA Diamond科学問題ベンチマークでの性能(Accuracy %)とコストの関係です。両グラフとも、o4-mini(黄色線)がo3-mini(灰色線)よりもコストパフォーマンス(左上に位置するほど良い)に優れていることを示します。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

左はAIME 2025数学、右はGPQA Diamond科学問題ベンチマークでの性能(Accuracy %)とコストの関係です。両グラフとも、o4-mini(黄色線)がo3-mini(灰色線)よりもコストパフォーマンス(左上に位置するほど良い)に優れていることを示します。

グラフが示す通り、o4-minio3-miniよりも常に優れたコストパフォーマンスを発揮します。特にマルチモーダル対応でありながらこの効率性を実現した点は注目に値します。

コスト vs パフォーマンス: o1とo3の比較

次に、フラッグシップモデルo1o3を比較します。

左はAIME 2025数学、右はGPQA Diamond科学問題ベンチマークでの性能(Accuracy %)とコストの関係です。両グラフとも、o4-mini(黄色線)がo3-mini(灰色線)よりもコストパフォーマンス(左上に位置するほど良い)に優れていることを示します。
出典:https://openai.com/index/introducing-o3-and-o4-mini/

左はAIME 2025数学、右はGPQA Diamond科学問題ベンチマークでの性能(Accuracy %)とコストの関係です。両グラフとも、o3(黄色線)がo1(灰色線)よりもコストパフォーマンスに優れていることを示します。

同様に、o3o1よりも優れたコストパフォーマンスを示します。OpenAIは「ほとんどの実世界利用において、o3はo1より賢く安価」と述べており、グラフはその主張を裏付けています。

API料金(100万トークンあたり)は、o4-miniが入力$0.25/出力$1.25、o3が入力$2.00/出力$6.00であり、前世代と比較して大幅なコスト削減または性能向上が実現されています。このコスト効率改善により、高性能AIがより多くのユーザーに利用しやすくなることが期待されます。

安全性への取り組み – OpenAI o3 / o4-miniの評価と対策

高性能AIの開発には安全性の確保が不可欠です。OpenAIはo3o4-miniにおいて、トレーニングデータの改善、システムレベル監視、厳格な評価という多層的な安全対策を講じています。

安全性トレーニングデータの再構築と強化

モデルが悪用リスクのある要求(バイオリスク、マルウェア生成、ジェイルブレイクなど)を認識し拒否する能力を高めるため、安全性トレーニングデータが全面的に再構築・強化されました。これにより、内部の拒否ベンチマークで強力な性能を達成しました。

システムレベルでのリスク軽減策(LLMモニター)

モデル自身の拒否能力に加え、別のLLMを活用した「推論LLMモニター」を導入。人間が定義した安全仕様に基づき対話を監視し、潜在的に危険なやり取りを検知・フラグ付けします。バイオリスクに関するテストでは、危険な会話の約99%を検知できたと報告されています。

Preparedness Frameworkに基づく厳格な評価

OpenAIの安全評価枠組み「Preparedness Framework」に基づき、o3o4-miniは厳格なストレステストを受けました。評価対象は、生物・化学リスクサイバーセキュリティリスクAI自己改善能力の3分野です。評価の結果、両モデルとも、これらのカテゴリー全てにおいて「高リスク(High)」のしきい値を下回っていると判断されました。詳細はシステムカードで公開されています。

Codex CLI登場 – ターミナルで最先端の推論を

OpenAIは、最新モデルの能力を開発者の日常環境で活用するための新ツール「Codex CLI」を発表し、オープンソースとして公開しました。

軽量コーディングエージェント「Codex CLI」とは?

Codex CLIは、開発者が自身のターミナルから直接利用できる、軽量なコーディング支援エージェントです。o3o4-mini、将来のGPT-4.1などのモデルの推論能力を最大限に活用するように設計されています。使い慣れたコマンドライン環境で高度なAI支援を受けられます。

ローカル環境でのマルチモーダル推論とコードアクセス

Codex CLIはユーザーのローカル環境と連携します。

  • ローカルファイルアクセス: コード理解、バグ修正、リファクタリング、機能追加などをローカルファイルに対して実行。
  • マルチモーダル入力: スクリーンショット(エラー画面、UIモックアップ等)やスケッチ画像を渡し、視覚情報に基づいたコード生成や解析を依頼可能。
  • 安全なコマンド実行: デフォルトではユーザー承認が必要な「suggest mode」。より自動化された「full auto mode」ではサンドボックス化された環境で安全性を確保(利用注意)。

オープンソース化と開発者支援イニシアチブ

Codex CLIはGitHub (github.com/openai/codex) で完全オープンソース公開。さらに総額100万ドルの「Codex Open Source Fund」を開始し、Codex CLIとOpenAIモデルを活用するオープンソースプロジェクトに対し、25,000ドル単位のAPIクレジットを提供し、開発を支援します。申請はこちらから。

OpenAI o3 / o4-miniへのアクセス方法

OpenAI o3OpenAI o4-miniは、ChatGPTの様々なプランとAPIを通じて順次利用可能になります。

ChatGPTでの利用プランとロールアウト状況

  • ChatGPT Plus, Pro, Team: 発表日(2025/4/16)より順次、モデルセレクターでo3, o4-mini, o4-mini-highが利用可能に(o1, o3-miniシリーズを置き換え)。
  • ChatGPT Enterprise, Edu: Plus等への提供開始から1週間後にアクセス可能予定。
  • Free (無料): o4-miniを限定的に試用可能(入力時に「Think」を選択)。
  • レート制限: 各プランの利用制限は従来モデルから変更なし
  • o3-pro: フルツールサポート付き高性能版は数週間以内にリリース予定(それまでProユーザーはo1-proを利用可能)。

API経由での開発者アクセス(Chat Completions / Responses API)

  • 提供開始: 発表日よりo3o4-miniがAPIで利用可能。
  • 利用可能なAPI:
    • Chat Completions API: 従来のインターフェースで利用。
    • Responses API: 推論モデル向け新API(推論サマリー取得、Function Calling精度向上、将来的に組み込みツールサポート)。
  • 組織認証: 一部の開発者は組織認証が必要な場合あり。
  • 詳細: 公式ドキュメント参照。

今後の展望 – OpenAIモデルの進化の方向性

今回のo3o4-miniのリリースは、OpenAIのモデル開発における重要な方向性を示しています。それは、GPTシリーズ(自然な対話、ツール利用)とoシリーズ(深い推論)の能力を統合し、より汎用的で高性能なAIを実現することです。

oシリーズとGPTシリーズの能力統合

o3o4-miniは、oシリーズの高度な推論能力を基盤に、GPTシリーズのような自然な会話能力とエージェント的なツール利用能力を高いレベルで兼ね備えています。これにより、単一モデルで高度な問題解決と自然なインタラクションの両立を目指す方向性が明確になりました。

自然な対話と高度な問題解決の両立へ

将来的には、AIはさらに進化し、自然な対話を通じてその高度な問題解決能力を引き出せるようになることが期待されます。AIは単なる指示実行者ではなく、ユーザーの意図を深く理解し、自らツールを駆使して最適な解決策をプロアクティブに提案・実行する、真の「問題解決パートナー」へと進化していくでしょう。o3o4-miniは、その未来に向けた重要な一歩であり、AIが人間の知的能力を拡張し、社会に貢献する可能性を大きく広げるものです。

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【目的別】生成AIの使い方がわかる! 生成AI活用事例集

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OpenAI o3 / o4-mini 登場!ChatGPTが全ツール連携で知能と実用性の新基準へ

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