こんにちは、スクーティー代表のかけやと申します。
弊社は生成AIを強みとするベトナムオフショア開発・ラボ型開発や、生成AIコンサルティングなどのサービスを提供しており、最近はありがたいことに生成AIと連携したシステム開発のご依頼を数多く頂いています。
Devin 2.0 がついに登場しました!AIソフトウェアエンジニアとして注目されるDevinが、今回のアップデートで開発者との連携を強化する「エージェントネイティブIDE」を搭載。複数のDevinを並行して動かし、必要に応じて人間が介入・修正できる新しい協業体験を提供します。
「Interactive Planning」でタスク開始時の認識合わせを強化し、「Devin Search」と「Devin Wiki」でコードベースの理解と知識共有を促進。さらに、月額20ドルからの新料金プランも登場し、より多くのチームが導入しやすくなりました。
この記事では、Devin 2.0の主要な変更点、新機能の詳細、そして効果的な活用法を解説します。
Devin 2.0とは? AIソフトウェアエンジニアとの新たな協業体験
Devinは、コード記述、実行、テスト、リファクタリング、バグ修正など、ソフトウェア開発プロセス全体を自律的に実行できるAIソフトウェアエンジニアです。Devin 1.0の発表から約1年、ユーザーフィードバックを元にDevin 2.0がリリースされました。中核となるのは「エージェントネイティブIDE」という新しい概念で、人間とAIエージェントがよりシームレスかつインタラクティブに協業するための統合開発環境を提供します。
Devin 2.0のコンセプト:人間とAIの協業を深化
Devin 2.0は、開発者を単に「強化」するのではなく、「倍増」させることを目指しています。開発者一人ひとりが複数のDevinエージェントを同時に使役し、あたかも自身のチームを率いているかのようにタスクを並列処理させることを可能にします。これにより、開発者は単調な作業から解放され、より創造的な問題解決に集中できます。
Devin 1.0では単純なタスクの委任が中心でしたが、2.0では複雑なタスクに対しても、計画段階での合意形成(Interactive Planning)、実行中のリアルタイムな進捗確認とIDEを通じた介入、成果物のレビューと修正といった、開発ライフサイクル全体を通じたインタラクティブな協業が可能になりました。各Devinセッションは独立したクラウドベースIDE(VM上で動作)を持ち、開発者は使い慣れたVSCodeライクな環境でDevinと連携できます。
この紹介動画では、Cognition CEOのScott Wu氏がDevin 2.0の主要な変更点を発表しています。特に、新しい「エージェントネイティブIDE」によるインタラクティブな協業体験と、チームでの導入を容易にする月額20ドルからの新料金プランが強調されています。
動画からは、Devinが単純なタスクだけでなく、現実世界の複雑なエンジニアリング作業に対応するために、人間とのより密接な連携を重視して設計されていることがわかります。また、「開発者を強化する(enhancing you)」のではなく「開発者を倍増させる(multiply you)」というDevinのコアコンセプトが語られており、複数のDevinエージェントを並行して活用することで、開発者一人あたりの生産性を飛躍的に向上させるという思想が示されています。この動画は、Devin 2.0が目指すAIとの新しい協業の形を理解する上で重要です。
Devin 2.0で何が変わった? 主な変更点概要
Devin 2.0の主な進化点は以下の通りです。
- エージェントネイティブIDEの導入: クラウドベースのインタラクティブなIDEを通じて、Devinとのリアルタイムな共同作業、コード編集、テスト実行が可能になりました。
- 新機能の追加:
- Interactive Planning: タスク開始時にDevinと対話しながら計画を練り上げ、認識のずれを防ぎます。Devinは数秒で初期計画案を提示します。
- Devin Search: コードベースに関する質問に、引用付きで詳細に回答します。Deep Modeによる高度な探索も可能です。
- Devin Wiki: リポジトリを自動的にインデックス化し、アーキテクチャ図などを含む詳細なWikiを生成・更新します。
- 新料金プランの提供: 月額20ドルのミニマム料金から始められる従量課金制の「Coreプラン」が新設されました。
- ACU(Agent Compute Unit)効率の大幅向上: 内部ベンチマークにおいて、タスク完了効率が83%以上向上し、実質的なコストパフォーマンスが約2倍になりました。
これらの変更により、Devin 2.0は開発プロセス全体を通じて協業できる、より強力で柔軟な「AIチームメイト」へと進化しました。
Devin 2.0の中核:エージェントネイティブIDE詳解
Devin 2.0の核心であるエージェントネイティブIDEは、開発者とDevinの連携を新たなレベルに引き上げるインターフェースです。AIエージェントとの協業を前提に設計されており、リアルタイムでの共同作業を可能にします。
クラウドベースIDEによるリアルタイム協業
各Devinセッションは、Webブラウザからアクセス可能な独立したクラウドベースIDE(VSCodeライク)を持ちます。特別なインストールは不要です。


このIDEでは以下の操作が可能です。
- リアルタイム追跡: Devinのファイル編集やコマンド実行状況を逐一確認できます。
- 直接編集: Devinが生成したコードを直接修正・リファクタリングできます。
- テスト実行: IDE内のターミナルでDevinのコードをテストし、動作を確認できます。
- 介入・指示変更: Devinの作業を一時停止し、指示を変更したり追加情報を提供したりできます。
- ショートカット活用: `Cmd+I` (Quick Agent呼び出し) や `Cmd+K` (ファイル検索) など、使い慣れたショートカットが利用可能です。
このIDEは、人間とAIが同じ開発空間を共有し、リアルタイムで協力するためのプラットフォームとして機能します。
複数Devinの並列実行とマルチタスク
Devin 2.0では、複数のDevinセッションを並行して実行できます。これにより、開発者は複数のタスクを同時に処理し、開発スループットを大幅に向上させることが可能です。
この動画は、Devin 2.0のエージェントネイティブIDEの実際の動作を示しています。 画面にはVSCodeライクなインターフェースが表示され、ファイルツリー、コードエディタ、ターミナル、そしてDevinのチャット/思考プロセスが表示されています。特に注目すべきは以下の点です。
- リアルタイムなコード編集と差分表示: Devinがコードを編集すると、その変更箇所がリアルタイムでハイライトされ(緑色の背景)、開発者は変更内容を容易に追跡できます。
- IDE内での直接操作: 開発者がIDE内でファイルを開いたり、コードを編集したり、ターミナルでコマンド(例:
npm run webapp
)を実行したりする様子が示されています。これにより、Devinの作業に直接介入し、テストや修正を行えることがわかります。 - Quick Agentの利用デモ (0:27-0:32): 開発者がコードの一部を選択し、
Cmd+I
ショートカットでQuick Agentを呼び出し、「fix any issues in this code block」と指示して、その場でコードを修正させる様子が具体的に示されています。これは、人間とAIがマイクロレベルで協業する例です。 - 複数セッションの可能性を示唆: 動画の後半 (0:42付近) では、複数のDevinセッション(または関連ウィンドウ)が並んでいるような画面構成が見られ、複数のタスクを並行して管理・実行できるDevin 2.0のマルチタスク能力を示唆しています。
この動画を通じて、開発者が使い慣れたIDE環境の中で、Devinの自律的な作業と人間の介入・協業がどのように融合されるのか、その具体的なイメージを掴むことができます。
主な活用例:
- タスク分散: 異なる性質のタスクを複数のDevinに割り当て、同時に進捗させます。
- アイデア並行検証: 複数の実装アプローチを異なるDevinに試させ、結果を比較検討します。
- バックログ消化: 朝一番に溜まっているタスクを複数のDevinに割り当て、開発者は優先度の高い作業に集中します。
各セッションは独立した仮想マシン(VM)上で動作するため、互いに影響を与えることなく安定して並列処理を実行できます。
IDE内のツール連携:VSCode、ブラウザ、ターミナル
エージェントネイティブIDEには、開発に必要なツールが統合されています。
- VSCode互換エディタ: コード編集、デバッグ、差分表示、リアルタイム追従など、使い慣れた機能を提供します。
- 統合ブラウザ: DevinのWeb操作(ドキュメント参照、Webアプリテスト)を可視化し、必要に応じて開発者が操作を引き継ぐことも可能です(インタラクティブブラウザ)。
- 統合ターミナル: Devinのコマンド実行を確認したり、開発者自身がコマンド(テスト実行、Git操作など)を実行したりできます。
これらのツールが単一のIDE内で連携することで、開発者はコード、ブラウザ、ターミナル間をスムーズに移動し、Devinの作業を効率的に管理・支援できます。
このIDEウォークスルー動画では、Devin 2.0のエージェントネイティブIDEが実際にどのように機能し、開発者がDevinと協業するプロセスが具体的に示されています。動画内で解説されている主なポイントは以下の通りです。
- インターフェース構成: 左側にDevinの計画や思考プロセスが表示され、中央にVSCodeライクなエディタ、右側にファイルツリーやターミナル、ブラウザといったツール群が配置されている標準的なレイアウトが確認できます。
- リアルタイムなDevinの活動追跡: Devinがファイルを編集したり、ターミナルでコマンドを実行したりすると、IDEの各パネルがリアルタイムで更新され、開発者はDevinの作業状況を逐一把握できます。「Following Devin」機能でDevinの作業箇所に自動追従する様子も示されています。
- ツール間のシームレスな連携: 開発者がエディタでコードを確認し、ターミナルでテストを実行し、その結果(例えばローカルで起動したWebアプリ)を統合ブラウザで確認するといった、開発ツール間をスムーズに行き来するワークフローがデモンストレーションされています。
- 開発者による介入とコントロール: 開発者がターミナルで独自のコマンドを実行したり、エディタでDevinのコードを直接修正したり、あるいはQuick Agent (
Cmd+I
) を使ってDevinに部分的な修正を指示したりするなど、人間が必要に応じてタスクのコントロールを取り戻し、Devinの作業に介入できることが強調されています。 - 並列処理の基盤: 各Devinセッションが独立したVMで動作するため、複数のタスクを並行して実行しても互いに干渉しないアーキテクチャについても触れられています。
この動画を見ることで、Devin 2.0のIDEが単なるビューアではなく、人間とAIが同じ環境で協力し、それぞれの強みを活かしてソフトウェア開発を進めるための、強力で柔軟なプラットフォームであることが理解できます。
Quick Agentによる迅速な修正
IDE内でコードの細かな部分を素早く修正したい場合、「Quick Agent」が役立ちます。これは、Cmd+I/Ctrl+I ショートカットで呼び出せる軽量なAIエージェントで、選択したコード範囲に対して自然言語で修正指示を出せます。
主な利用シーン:
- 軽微な修正(タイポ、変数名変更、コメント追加など)
- 簡単なリファクタリング(早期リターンへの書き換えなど)
- エラーハンドリングの追加
- 定型的なコード生成(getter/setterなど)
Quick Agentは迅速に応答し、修正範囲も限定的なため、開発者の思考を中断させることなく、コード品質を効率的に向上させることができます。
Devin 2.0を加速させる3つの新機能
エージェントネイティブIDEに加え、Devin 2.0では開発ワークフローをさらに強化する3つの新機能、「Interactive Planning」、「Devin Search」、「Devin Wiki」が導入されました。これらはDevinのタスク理解度を高め、開発者の情報収集・共有を効率化し、人間とAIの連携を計画段階から強化します。
Interactive Planning:計画段階での協業強化
複雑なタスクや要求が曖昧な場合、初期の計画と認識合わせが重要です。「Interactive Planning」機能は、この計画フェーズを人間とDevinが協力して行うことを可能にします。
セッション開始時、Devinはコードベースを調査し、関連ファイル、発見事項、そして予備的な計画(Preliminary Plan)と未解決の質問(Open Questions)を数秒で提示します。
この動画は、Interactive Planning機能の実際の動作を示しています。開発者が「プランナーコンテンツがない場合にタイムラプスビューのプランナータブを非表示にする」というタスクをDevinに与えるところから始まります。するとDevinは即座にコードベースのスキャンを開始し(動画0:03-0:08)、関連ファイル(Workspace.tsx
, PlannerApp.tsx
など)を特定します。
その後、Devinは具体的な実行計画(Key Steps)と、判断に必要な確認事項(Open Questions)を提示します(動画0:09-0:17)。例えば、「exploreTabs
配列を修正する」「allApplications.planner
にコンテンツがあるか確認する」「タブレンダリングロジックを更新する」といったステップ案と、「コンテンツ有無の最適な判断方法は?」「タブは完全非表示か、非アクティブ化か?」といった質問が表示されます。
開発者はこの計画と質問を確認し、必要であれば修正や回答を与えた上で、「Confirm」ボタン(動画には表示されていませんが、UI上存在します)を押すことで、Devinにタスクの実行を指示します。この一連の流れにより、人間とAIが計画段階で協調し、タスクの方向性を明確にするプロセスが実現されていることがわかります。
開発者は、この計画案をレビューし、Devinとの対話を通じて計画を洗練させます。
- 計画の修正・承認: Devinの提案が適切であれば承認(Confirm)し、修正が必要であればチャットで指示を出します。「ステップ2は不要」「このファイルも変更対象に加えて」といった具体的なフィードバックが可能です。
- Open Questionsへの回答: Devinの疑問点に答えることで、曖昧さを排除し、タスクの方向性を明確にします。これにより、Devinはより確信を持ってタスクを実行できます。
この対話的な計画プロセスにより、開発者はDevinのタスク理解度を確認し、初期段階で認識のずれを修正できます。これにより、後の工程での手戻りを大幅に削減し、特に要求が不明確なタスクや複雑なタスクにおいて、Devinとの協業をよりスムーズかつ効果的に進めることが可能になります。これは、AIが単なる「作業者」ではなく、計画段階から参画する「思考パートナー」となる可能性を示しています。
この動画は、Interactive Planning機能のより詳細なデモンストレーションを提供しています。音声解説付きで、Devinがどのようにコードベースをスキャンし、初期計画(Key Steps)と未解決の質問(Open Questions)を生成するかを示しています。
特に、Devinが提示する計画の具体性(ファイル名と行番号の提示)や、開発者がOpen Questionsに対してどのように回答し、計画を修正・承認するか(動画ではAuto-confirmを使用していますが、手動での確認・修正も可能です)といった、人間とAIの対話的なプロセスが強調されています。
また、計画が承認された後、Devinがその計画に基づいて自律的にタスクを実行していく様子も示されています。この動画は、Interactive Planningが単なる計画提示機能ではなく、人間とAIが協力してタスクの方向性を定め、実行に移すまでの一連のワークフローであることを理解するのに役立ちます。
Devin Search:コードベース理解のための対話型ツール
大規模なコードベースや馴染みのないコードを理解するのは時間がかかります。「Devin Search」は、自然言語でコードベースに関する質問をし、迅速かつ的確な回答を得られる対話型ツールです。
主な機能:
- 自然言語での質問応答: 「この関数はどこで使われている?」のように質問できます。
- コード引用付き回答: 回答の根拠となるファイル名やコードスニペットを提示します。
- 例:日本語IME処理について質問すると、`e.nativeEvent.isComposing` をチェックするコード箇所を提示。
- 例:Flaskテンプレートの値について質問すると、関連ドキュメントとソース箇所を参照しつつ回答。
- Deep Mode: より複雑で広範囲な調査が必要な場合に有効化すると、Devin Searchは時間をかけてコードベース全体を深く探索・分析します。例:「EnterキーをリッスンするがisComposingをチェックしない入力ボックスを全て見つける」。
- Devin Wiki連携: 自動生成されたWikiの情報も検索対象とし、包括的な回答を提供します。
この動画は、Devin Searchの基本的な使い方とDeep Modeの活用例を示しています。まず、開発者が「日本語入力(IME)をどのように処理しているか?」と質問します。Devin Searchは迅速にコードベースを検索し、関連するファイル(SimpleTextarea.tsx
)とコード箇所(e.nativeEvent.isComposing
のチェック)を引用付きで回答します。次に、開発者はより高度な質問として「エンターキーをリッスンしているが isComposing をチェックしていない全ての入力ボックスを見つけて」と入力し、「Deep Mode」を有効にして検索を実行します。
Deep Modeでは、Devinがより時間をかけて広範囲な探索を行うことが示唆されています。さらに、検索結果から得られた知見をもとに、開発者が「fix all these」と入力し、Quick Agentを呼び出して、見つかった問題箇所を修正する流れも示されています。この動画から、Devin Searchが単純な質問応答だけでなく、コードベース全体の調査や、その結果に基づいた修正作業へとシームレスに繋がる強力なツールであることがわかります。
Devin Searchは、開発者がコードリーディングや仕様調査に費やす時間を大幅に削減し、オンボーディング、デバッグ、リファクタリングといった様々な開発フェーズにおける情報収集を加速します。AIがコードを「読んで理解し、質問に答える」能力を持つことで、人間とAIの協業は新たな次元へと進化します。
この動画では、Devin Searchを実際に使用してコードベースを迅速に理解するための具体的なテクニックが紹介されています。音声解説付きで、Devin Searchのインターフェース(質問入力欄、Fast/Deepモード切り替え、回答表示エリア、引用元コード表示エリアなど)が示されます。
開発者がFlaskリポジトリに対して「HTMLテンプレートで使える値は何か?」と質問し、Devin Searchが関連ドキュメントやコードを引用しながら回答するプロセスが実演されています。特に、回答に含まれるファイル名や行番号がクリック可能で、IDE内の該当箇所に直接ジャンプできる点が強調されています。さらに、回答内容から派生した追加の質問(例:テンプレートシステムの詳細)について、Devin Searchが関連するDevin Wikiページへのリンクを提示する様子も示されており、SearchとWikiが連携してコード理解を深める仕組みがわかります。この動画は、Devin Searchを効果的に活用するための具体的な手順と、その利便性を理解する上で役立ちます。
Devin Wiki:リポジトリ情報の自動ドキュメント化
ドキュメントの作成・維持は重要ですが、手間がかかり陳腐化しやすい課題です。「Devin Wiki」は、リポジトリ情報を自動的にインデックス化し、常に最新のWikiページを生成する機能です。
Devin Wikiは数時間ごとにリポジトリをスキャンし、以下の情報を含むWikiを構築・更新します。
- 概要と主要コンポーネント: リポジトリ全体の目的や主要機能の説明。
- 包括的なアーキテクチャ図: モジュールやクラス間の関係性を視覚化した図。
- ソースコードへの直接リンク: Wiki内の記述から該当コードへ直接ジャンプ可能。
- 関連ドキュメントの統合: READMEやコード内のドキュメントコメントなどを自動収集。
- その他の有用な情報: APIエンドポイント、データ構造、設定、ライブラリ情報など。
この動画は、Devin Wikiが自動生成したドキュメントの例を示しています。 具体的には、PythonのWebフレームワークであるFlaskのリポジトリに対するWikiページが表示されています。左側には目次があり、「Flask Overview」「Core Application Architecture」「Configuration System」といった主要なセクションに分かれています。
右側の本文エリアでは、「Configuration System」セクションが表示されており、その概要説明、コアコンポーネント(Configクラスなど)の説明、そしてクラス間の関係を示すアーキテクチャ図(クラス図)が自動生成されていることがわかります。さらに、説明文中のファイル名(例: src/flask/config.py
)やクラス名が、実際のソースコードへのリンクになっていることも示唆されています(動画0:48付近でソースファイルへのリンクが示される)。この動画から、Devin Wikiがコードを解析し、構造化されたドキュメントと視覚的な図を自動生成することで、複雑なコードベースの理解を助ける機能であることが理解できます。
Devin Wikiがもたらすメリットは多岐にわたります。
- オンボーディングの劇的な効率化: 新規メンバーは、まずDevin Wikiを参照することで、プロジェクトの全体像、技術スタック、主要モジュールの役割などを迅速にキャッチアップできます。分厚いドキュメントを読み込む必要がなく、視覚的な図やソースへのリンクを通じて、実践的かつ効率的に知識を習得できます。
- チーム全体の知識レベル向上と属人化防止: プロジェクトに関する暗黙知や特定のメンバーしか知らない情報が、Devin Wikiによって形式知化され、チーム全体で共有されます。Wikiは自動更新されるため、常に最新の情報に基づいた議論や開発が可能になり、知識の属人化を防ぎます。
- ドキュメンテーションの維持コスト削減: 開発者はコードの変更に集中でき、ドキュメントの更新作業の多くをDevinに任せることができます。これにより、ドキュメントが陳腐化する問題を大幅に軽減し、開発者の負担を減らします。
- Devin Searchとの相乗効果: Devin Wikiによって構造化・インデックス化された情報は、Devin Searchの検索精度と回答能力を向上させます。コードだけでなく、設計思想やドキュメントに基づいた、より質の高い回答が得られるようになります。
Devin Wikiは、コードベースそのものを「生きたドキュメント」として扱い、その内部構造と関連知識を自動的に抽出し、開発者が容易にアクセスできる形に整理する、画期的な機能です。これにより、コードの理解、チーム内のコラボレーション、そしてプロジェクト全体の健全性が大きく向上することが期待されます。
この動画では、Devin Wikiの機能と利点が音声解説付きで詳しく説明されています。 Devin Wikiがリポジトリのコア部分に対する説明を自動生成すること、FlaskリポジトリのWikiページ例(目次、概要、関連ソースファイル、アーキテクチャ図など)が表示され、これらがコードベースの理解や新規メンバーのオンボーディングに役立つことが強調されています。
また、Wikiを手動でブラウズするだけでなく、Devin Searchの結果からも関連するWikiページへのリンクが提示され、SearchとWikiが連携して機能することも示されています。具体的には、「FlaskのHTMLテンプレートで使える値は?」というDevin Searchの回答の下部に、関連するWikiページ(Template Systemなど)へのリンクが表示され、クリックすると該当Wikiページに遷移する様子がデモンストレーションされています。これにより、Devin Wikiが自動更新される詳細なドキュメントとして機能し、開発者の知識習得と情報アクセスを効率化する様子がよくわかります。
Devin 2.0の実践的な活用方法とワークフロー
Devin 2.0は、その強化された協業機能とインテリジェントな新機能により、単なる自動化ツールを超え、開発者の日常的なワークフローに深く組み込むことができる「AIチームメイト」としての可能性を秘めています。ここでは、具体的な開発シーンを想定し、Devin 2.0を効果的に活用するための実践的な方法とワークフローの例を紹介します。Devinを最大限に活用するには、タスクを単に委任するだけでなく、人間とAIがそれぞれの得意分野を活かして協力するプロセスを構築することが重要です。
日常的な開発タスクへのDevin 2.0の組み込み
日々の開発業務の中には、Devin 2.0を活用することで効率化したり、これまで後回しにしがちだったタスクに取り組んだりできる場面が数多く存在します。以下に、具体的な活用例を挙げます。
Slack連携による迅速なバグ修正・タスク依頼
シナリオ: チームメンバーがSlackチャンネルで特定のバグについて議論している、あるいは顧客からの簡単な機能要望が共有された状況。
Devin 2.0活用: そのSlackスレッドにDevinを直接メンション(@Devin)し、「このバグを修正して」や「この機能(要望内容)を追加して」のように自然言語で指示を出します。例では、Jacob Teo氏がエラーメッセージに対して「@Devin fix this」と指示しています。Devinはスレッドの文脈(エラーログ、会話内容、ファイルへの言及など)を理解し、問題を解決するための新しいDevinセッションを自動的に開始します。開発者は、普段使っているコミュニケーションツールから離れることなく、迅速にDevinに対応を依頼できます。


このGIFアニメーションは、Slack上でDevinにタスクを依頼する基本的な流れを示しています。 ユーザーがエラーメッセージを含むスレッドで「@Devin fix this」とメンションすると、Devin Appが「Got it! Created a new session in this thread」と応答し、自動的にDevinセッションが開始される様子がわかります。これにより、Slackでの議論からシームレスにDevinへのタスク委任が可能であることが示されています。
この動画では、Slack連携によるバグ修正のより詳細なデモンストレーションが提供されています。 Waldenというユーザー(Cognition社員)が、別のユーザーから報告されたエラー(`request_id` という予期せぬキーワード引数に関する `CombinedEngine.generate_stream()` のエラー)について、Devinに修正を依頼します。Devinはエラー内容と関連コードを分析し、問題を修正するためのプルリクエストを作成するまでの一連のプロセスを実行します。この動画は、実際のバグ修正シナリオにおいて、DevinがSlackでの指示からコード修正、PR作成までをどのように自律的に進めるかを示しています。
IDEからのシームレスなリファクタリング委任
シナリオ: 開発者がIDEでコードを書いている最中に、特定のコードブロックの可読性が低い、あるいは重複しているロジックがあることに気づいた状況。
Devin 2.0活用: IDE内でリファクタリングしたいコード範囲を選択し、Quick Agent (`Cmd+I`/`Ctrl+I`) を呼び出します。そして、「このコードブロックをリファクタリングして、よりクリーンにして」や「選択範囲のロジックを共通関数として切り出して」といった指示を自然言語で与えます。Devin(Quick Agent)はその場でリファクタリング案を生成・提示し、開発者はそれをレビューして適用するかどうかを決定できます。これにより、開発者は現在集中している作業の流れを大きく妨げることなく(コンテキストスイッチングを最小限に抑え)、コード品質の改善を効率的に行えます。
この動画では、Silasというユーザー(Cognition社員)が、開発中のIDE(エージェントネイティブIDE)内でDevinにリファクタリングタスクを委任する様子が具体的にデモンストレーションされています。 Silasは特定のコード箇所を選択し、おそらくQuick Agent機能を使ってDevinにリファクタリングを指示します。Devinは指示に従ってコードを修正し、Silasはその結果をIDE内で確認します。この動画は、開発者がコーディング作業を中断することなく、IDE内でシームレスにDevinの支援(この場合はリファクタリング)を受けられることを示しており、コンテキストスイッチング削減のメリットを強調しています。
バックログタスクの効率的な並列処理(朝活Devin)
シナリオ: 多くの開発チームが抱える、緊急ではないが対応が必要なタスク(テストカバレッジの向上、ドキュメントの更新、軽微なバグ修正、依存関係の更新など)がバックログに溜まっている状況。
Devin 2.0活用: 開発者は、例えば一日の始まりに、バックログから複数の比較的小規模で独立したタスクを選び出し、それぞれを個別のDevinセッションに割り当てて実行を開始させます(複数のDevinを並列起動)。Devinたちはバックグラウンドでこれらのタスクを自律的に処理します。開発者自身はその間、より優先度の高い戦略的なタスクに集中できます。そして、一定時間後(例えば昼休みや終業前)に確認すると、複数のタスクが完了し、レビュー待ちのプルリクエスト(Draft PR)が複数作成されている、といった生産性の高いワークフローを実現できる可能性があります。
タスク管理ツールからのタスク委任
シナリオ: プロダクトマネージャーや他のチームメンバーが、JiraやLinearのようなタスク管理ツールに新しい機能要望や改善タスクを起票した状況。
Devin 2.0活用: 開発者は、これらのタスク管理ツールから直接Devinにタスクを依頼することができます(具体的な連携方法はツールによる可能性があります)。例えば、LinearのチケットをDevinに送り、「このチケットの内容を実装して」と指示します。Devinはチケットの内容(説明、要件、関連リンクなど)を読み取り、実装作業を開始します。これにより、タスク管理ツールと開発環境間の情報の転記やコンテキストの再設定といった手間を省き、よりスムーズな連携が可能になります。
この動画では、Saraというユーザー(Cognition社員、PMの役割を想定)が、タスク管理ツール(この例ではLinear)に溜まっていくタスクを、単にバックログに追加するのではなく、Devinに直接送信して処理を依頼するワークフローを示しています。
PMがLinear上でタスクを作成し、それをDevinに送ると、Devinがタスク内容を理解し、実装作業を開始するという流れが想定されます。これにより、PMから開発者へのタスク依頼プロセスが効率化され、開発者は実装作業の一部をDevinに委任できる可能性が示唆されています。タスク管理ツールとの具体的な連携インターフェースは動画内では示されていませんが、コンセプトとして提示されています。
これらの例は、Devin 2.0が単なる受動的なツールではなく、開発者のワークフローの様々なポイントに能動的に組み込まれ、生産性向上や負担軽減に貢献できる柔軟性を持っていることを示しています。重要なのは、Devinを「使う」という意識から、Devinと「協業する」という意識へとシフトすることかもしれません。
Devin 2.0が得意とするタスク領域
Devin 2.0は特に以下のタスクで高い能力を発揮します。
- バックログに溜まりがちな細かなタスクの並列処理:
- ターゲットを絞ったリファクタリング
- 小規模な機能リクエスト、フロントエンド修正、バグ修正、エッジケース対応
- テストカバレッジ向上
- CI失敗の調査と修正
- Lint/静的解析エラー対応
- コード移行、リファクタリング、モダナイゼーション:
- 言語移行(例: JSからTSへ)
- フレームワーク/ライブラリアップグレード(例: Angular 16→18)
- モノレポからサブモジュールへの変換(部分的なもの)
- 未使用フィーチャーフラグの削除
- 共通コードのライブラリ化
- 一般的で反復的なエンジニアリングタスク:
- PRレビュー(定型的なチェック)
- コードベースQ&A (Devin Search活用)
- バグの再現と修正
- 単体テスト/統合テスト作成
- ドキュメントメンテナンス (Devin Wiki連携)
- カスタマーエンジニアリングサポート:
- 新規インテグレーション構築、未知API利用
- カスタマイズデモ作成
- ソリューションプロトタイピング
- 内部ツール構築
特に検証が容易(CIパス、自動デプロイでの確認など)で、ジュニアエンジニアレベルの複雑さのタスクが成功しやすい傾向にあります。
Devin 2.0を効果的に活用するためのベストプラクティス
Devin 2.0を最大限活用し、AIとの協業を成功させるための指針です。
- 明確なタスクスコープと完了基準の設定: 「何を」「どうなったら完了か」を具体的に指示します。Interactive Planningを活用して認識を合わせます。
- 適切なタスクの選択と分割: Devinが得意なタスクを選び、複雑なタスクは小さなサブタスクに分割します。
- リポジトリへの適切なアクセス権設定: セキュリティを考慮し、必要最小限の権限を付与します。
- 既存ワークフローへのシームレスな統合: Slack、IDE、タスク管理ツールなど、普段使うツールと連携させます。
- 反復的な改善とフィードバックループの活用: Devinの生成物を「良い第一稿」と捉え、レビューとフィードバックを通じて改善します。IDEでの直接修正やQuick Agentの活用も有効です。
- 並列処理能力の戦略的な活用: 複数の独立タスクを同時に処理させ、開発者の時間を高付加価値な作業に振り向けます。
- Devinの限界を理解する: UI/UX美観、モバイル実機テスト、高度なセキュリティ判断、大規模設計などは苦手分野であることを認識します。
この動画では、Devinがプライベートリポジトリなどにアクセスするために必要な設定手順が解説されています。 GitHub Appのインストール、リポジトリへのアクセス許可、SSHキーの設定など、Devinがコードを読み書きするために必要な初期設定について説明されており、Devinを実際のプロジェクトで利用する際の前提となる作業を理解するのに役立ちます。
Cognition社提供のベストプラクティスや事前チェックリストも参考に、試行錯誤しながら最適な協業スタイルを見つけることが重要です。
Devin 2.0の限界と注意点
Devin 2.0は強力ですが万能ではなく、ジュニアエンジニアレベルの能力と限界を持っています。これらを理解し、適切な期待値で協業することが重要です。
大規模な課題への対応
明確にスコープされた小規模タスクで最も性能を発揮します。以下のような大規模・複雑な課題は困難な場合があります。
- 広範囲なアーキテクチャ変更: システム全体に影響する大規模な設計変更。
- ゼロからの大規模アプリケーション開発: 詳細仕様が未定な複雑なアプリの新規構築。
- 未知の領域や高度なアルゴリズム: 最先端技術や特定ドメインの高度なアルゴリズム実装。
対処法: タスクを小さな単位に分割し、Devinが得意な部分を委任するアプローチが現実的です。人間が全体の設計・管理を行います。
信頼性とリカバリー
Devinのプロセスは常に成功するとは限りません。逸脱(Off-track)や停止(Stuck)、非効率な試行が発生することがあります。
対処法:
- IDEで定期的に進捗を確認し、問題があれば早期に介入します。
- チャットやコメントで軌道修正の指示を与えます。
- 必要な情報を提供したり、IDEで直接コードや設定を修正したりします。
- 状況によってはセッションを再起動する方が効率的な場合もあります。
Interactive Planningで計画を詰めること、完了基準を明確にすることもリスク低減に役立ちます。
UI/UXデザインと美観
機能的なフロントエンドは構築できますが、デザインの美観や洗練されたUXの実現は苦手です。
- デザイン・美観の限界: 配色、タイポグラフィ、スペーシングなど、視覚的な魅力やバランス感覚が求められる作業は不得意。
- 複雑なインタラクションとUXの限界: 高度なアニメーションやカスタムコンポーネント、UX全体の設計は難しい。
対処法: Devinに基本的な機能実装を任せ、デザインやUXの仕上げは人間が行う分業体制が効果的です。
モバイル開発における制約
モバイルアプリ開発も支援できますが、実機テスト環境を持っていません。
- 実機テスト不可: シミュレータ/エミュレータでの確認は可能ですが、実機特有の問題(レイアウト崩れ、パフォーマンス、ハードウェア連携など)は検出困難。
対処法: 最終的な品質保証のためには、開発者による実機での入念なテストが不可欠です。
セキュリティに関する考慮事項
AIエージェントにコードアクセスを許可する場合、セキュリティは最優先事項です。
- 認証情報の安全な管理: 機密情報はプロンプトに直接書かず、Secrets Managerや安全な共有チャネルを使用します。可能なら一時的な認証情報を利用します。
- アクセス権限の最小化: Devinにはタスク遂行に必要な最小限の権限のみを付与します。
- 生成コードのセキュリティレビュー: Devinが生成したコード、特に外部入力、認証、機密データに関わる部分は、必ず人間による慎重なレビューを行います。SAST/DAST/SCAツールの活用も推奨されます。
- サプライチェーンリスクへの注意: Devinが依存関係を変更した場合、追加・更新されたライブラリの信頼性や脆弱性を確認します。
Devinは強力なツールですが、その利用には責任が伴います。セキュリティのベストプラクティスを遵守し、常に人間による最終確認を行うことが重要です。
Devin 2.0へのフィードバックと今後の展望
Devin 2.0はAIとの協業における大きな一歩ですが、まだ進化の途上にあります。Cognition社はユーザーからのフィードバックを重視し、継続的な改善に取り組んでいます。
フィードバックの提供方法
ユーザーからのフィードバックはDevin進化の鍵です。以下の方法で意見や要望を送ることが推奨されています。
- メールサポート: 不具合報告、機能要望、質問などを [email protected] へ。
- Slack Connect (Teamsプランユーザー向け): Cognitionチームと直接コミュニケーション。https://app.devin.ai/settings/support
- Webアプリ内のフィードバックボタン: アプリ右端の「Feedback」ボタンから手軽に送信。
- X (旧Twitter) での言及: @cognition_labs をメンションして公開フィードバック。ユーザーからは期待の声(Mckay Wrigley氏、Logan Kilpatrick氏)や、より詳細な情報(IDEの役割、システムプロンプト)を求める質問(Pliny the Liberator氏、Andriy Burkov氏)などが寄せられています。
Cognition社はこれらのフィードバックを製品改善やロードマップ策定に活用しています。
Cognition社のビジョン:AIチームメイトと共に未来を創る
Cognition社が目指すのは、単なる自動化ツールではなく、人間とAIが真に協業することでエンジニアリングチームの能力を増幅させる、協調的なAIチームメイトの構築です。
彼らが目指す価値:
- 生産性の「倍増」: 複数のDevinエージェント活用によるタスク処理能力の飛躍的向上。Moritz Stephan氏 (@at_code_wizard) が言うように「the future of agents is parallelization!」
- 創造性への集中シフト: 定型作業をDevinに任せ、人間はより高度な問題解決や設計に集中。
- チームコラボレーションの加速: Devin Wikiなどを通じた効率的な知識共有。
- 開発サイクルの劇的な短縮: アイデアからデプロイまでのリードタイムを短縮。
CEOのScott Wu氏が言うように、Devinは「あなたを強化する(enhancing you)」のではなく「あなたを倍増させる(multiply you)」ことを目指しています。
Devin 2.0の各機能は、このビジョン実現のための構成要素です。AIが計画段階から関与し、知識を共有し、人間と対話しながら問題を解決する未来を示唆しています。Cognition社は「まだ多くの構築すべきことがある」としており、今後もユーザーと共にDevinを進化させていくでしょう。
Devin 2.0はapp.devin.ai で利用可能です。エンタープライズ利用は営業チームへ。ソフトウェア開発の新しい時代を、Devinと共に体験してみてはいかがでしょうか。